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Interview

若者フリーク連載「好きを転じて夢と為す」vol.4

ファッションから音楽へ。24歳で新たな夢を見つけたxiangyu

author: 白鳥菜都date: 2025/01/08

FREAK’S STOREとBeyond magazineによる、ユース世代応援プロジェクト「若者フリーク」。このプロジェクトは、若者の「好き」がいつか「夢」に変わり、もっと将来の自分に「ワクワク」してもらうきっかけを作ることを目指している。

若者フリーク連載「好きを転じて夢と為す」では、自分の好きなことを見つけてその夢に向かっている人たちや、夢の実現に向けて行動しているユース世代に、その半生や夢との出合いを語ってもらう。先輩フリークたちの言葉を聞けば、自分の夢を見つけるヒントになるかもしれない。

第4回目は、アーティストのxiangyu(シャンユー)さんにインタビュー。音楽活動を中心に、執筆活動や映画出演など幅広く活動している。そんな彼女は、一度は会社員として就職した後、20代半ばで未経験から音楽活動を開始した。xiangyuさんは“好き”や“夢”とどのように向き合ってきたのだろうか。

xiangyu

2018年9月からライブ活動を開始したソロアーティスト。読み方はシャンユー。ブレイクビーツ、ボルチモアブレイクス、バイレファンキ、アマピアノなどを取り入れた新しいサウンドを披露している。

Instagram:@xiangyu_dayo
X:@xiangyu_dayo

大好きなファッションの世界へ一直線だった10代

──xiangyuさんは音楽活動を始める前は、アパレルの仕事をしていたんですよね。

そうなんです。文化服装学院のファッション高度専門士科を卒業し、パタンナーとしてアパレルブランドに就職しました。

──昔からファッションが好きだったのですか?

単純に、可愛い服やかっこいい服を着るとテンションが上がるじゃないですか。だから子どもの頃からファッションは大好き。

それに、私が10代だった頃、『FRUiTS』とか『Zipper』とかストリートスナップがたくさん載った雑誌とか、ファッションサークルとかが流行っていたんです。原宿のローソン前がおしゃれな人の溜まり場になっていて、そういうのを見て、私もどんどんおしゃれが好きになっていきました。

服を見たり着たりするのも好きでしたし、10代の頃から見よう見まねでいろんなアイテムを作っていましたね。さまざまなアイテムのなかで、1番自分で作るのが難しかったのが洋服で。だから学校に行って学ぼうと思いました。

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──大好きなファッションを仕事にするために、やってよかったと思うことはありますか?

学校に行って、複数の選択肢を知ったのはよかったなと思います。デザイナーが花形だと思っていたので、最初はデザイナーになるぞ! と思っていたんですよね。

でも、学校で学んでいるうちに、パタンナーの方がブランドや洋服の土台となる形を作っていける仕事なんじゃないかと感じて。だからパタンナーとして就職できるように頑張ろうと、自分に合った方向性を決められました。ずっと独学でやっていたら気づかなかったかもしれません。

20代中盤にして、完全未経験の音楽の世界へ飛び込む

──目標通りパタンナーとして就職したところから、音楽の道に方向転換したのはなぜですか?

就職して、暮らしも安定するし学びになることもあったけれど、やっぱり「もっと自分の考えを表現したい」という気持ちがあったんです。すでに出来上がっているブランドやメーカーでものを作り続けるよりも、自分の名前を出してものづくりをしてみたいなと思って。

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でも、私は音楽には全く興味がなくて、カラオケにも行ったことがないくらいだったんですよね。そんな感じなのに、学生時代にあるイベントに出ていた私に、今のマネージャーさんがいきなり「音楽をやってみないか?」と声をかけてきてくれて。何を見て声をかけているんだろうと不思議でした(笑)。当時はピンと来なかったのですが、数年越しに思い出して、改めて連絡を取って、音楽にチャレンジすることになりました。

──会社を辞めて、音楽という新しい挑戦をすることに対して、周りからはどんな反応がありましたか?

親は昔から「やりたいことは好きにやった方がいい」というタイプだったので、肯定的でした。

でも、友達からは「もったいない」って言われました。結構名の知れた会社に勤めていましたし、私がやっていたポジションも面白い仕事だったので、「安定していてやりがいもある環境なのに辞めてしまうなんてもったいないよ」って。

ただ、私としては、何が安定かなんて本当はわからないと思っていて。会社だって急に倒産する可能性もあるし、決まったお給料を確実にもらい続けられる保証はない。自分の身体や心の調子が悪くなって会社に行けなくなったら、すぐに生活が崩れてしまう。

それだったら、やりたいことに賭けた方が自分の人生は豊かになると思って、会社を辞めることにしました。

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──音楽未経験の状態から、どのように仕事として形にしていったのですか?

今も苦労しています。歌詞の書き方もわからなかったので「歌詞 書き方」なんてググったり(笑)。でも、出てくるのは「空が青くて」とか「恋焦がれて」とか、私が書きたい内容ではないものばっかりで。これは私がやらなくてもいいなと思って、自分ならではの視点を考えているうちに、今のようなスタイルになっていきました。

──結果的に、音楽の道に進んでよかったことはありますか?

まず、音楽が大好きになりました。10代の頃には全然興味がなかったのに、新しく好きなものが見つかったのがよかったです。

それから私、音楽活動のなかでも特にライブが好きなんです。曲を作るのももちろん楽しいけれど、それをお客さんの前でパフォーマンスして、お客さんと通じ合えた瞬間が1番楽しい。

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音楽活動を始める前は、あまり社交的ではなくて、人とコミュニケーションを取るのが苦手だったんです。自分自身もそういう自分のことがあまり好きじゃなかったので、克服したいと思っていました。それが、音楽を始めたら自分の性格が変わって、どんどん社交的な自分が引き出されてきて。音楽をきっかけに前よりも好きな自分になれました。

──FREAK’S STOREBeyond magazineのコラボプロジェクト「若者フリーク」のイベントでライブに登壇していただいた際にも、楽しさや明るさの溢れたステージで素敵でした。

ありがとうございます。この時のライブは、会場がコンパクトでお客さんとの距離もかなり近かったので、よりコミュニケーションが取りやすくて面白かったです。

それにアパレルブランドとウェブマガジンがコラボして、こういうふうにユース世代の「好き」とか「夢」を後押しするイベントをやっているのも良いですよね。私としても共感できるテーマだし、こういうテーマがあることでお客さんとのコミュニケーションもしやすくなるなと思いました。

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目の前のことを頑張れば、自ずと夢が見えてくる

──「若者フリーク」に関連してリサーチしたところ、日本の若者は夢中になれることや、夢を持っている人がほかの国に比べて少ないというデータ()を見つけました。xiangyuさんの周りではいかがですか?

確かに、自分より少しだけ下の世代では目標や夢がないという人にちょこちょこ出会う気がします。でも、私と同世代くらいの人はすでに仕事をし始めているからというのもありますが、何かしら目標を持っている人が多いかなと思います。

──夢や目標が見つからずに焦るユースも多いと思うのですが、そういう人に向けてアドバイスはありますか?

今は焦るかも知れないけれど、実はみんな通る道な気もします。というのも、私も音楽を始めたのが24歳くらいで、一般的なスタートからしたらちょっと遅いんですよね。しかも、「絶対に音楽で何かを成し遂げるんだ!」っていう強い目標があったわけでもなくて、漠然と自分の人生を切り開きたいという感覚があって、それに従っただけで。

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私みたいに、学校とか小さなコミュニティから出て、社会で揉まれているうちに見えてくる夢もあるのかなって思うんです。だから、先が見えなくてもとりあえず目の前のことを頑張ってみるっていうのもいいんじゃないかな。

私は10代の頃に思い描いていた未来とは全然違うけれど、後悔はないですよ。とりあえず、思った方向に動いてみることが大事だと思います。

──最後に、xiangyuさんの今後の目標を教えてください。

とにかく、音楽をやり続けたいです。自分が面白いと思うことを信じてやり続けるのって、意外と難しいと思うんです。何かを辞める理由って探そうと思えばいくつでも見つかりそうだし。

でも、結局自分のことを最後まで信じてあげられる人は自分しかいないから、そうしてあげたい。その先にしか見えない景色があると信じています!

Photo:笠川泰希
Text & Edit:白鳥菜都

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ライター・編集者
白鳥菜都

ライター・編集者。1999年生まれ。好きな食べ物はみかん、柿、桃、洋梨、辛いもの、お茶。
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