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Column

Z世代のアドベンチャー(冒険者)たちに捧ぐ

山田Gの大人の社会見学 Vol.6:メンズ脱毛(後編)

author: 山田ゴメスdate: 2022/11/26

還暦間際のベテランライターが老体に鞭打ちながらも「考えるな! 感じろ!」と自身を奮い立たせ、あらゆるジャンルの「新しい経験」にチャレンジ! そこで得た感動と成長を、Z世代の『Beyond』読者諸君にもお伝えすることを旨とする体験ルポ型の本連載──第6回目は、前編の「ワックス脱毛」に引き続いての「医療脱毛」だ!!

[前編のあらすじ]
女子を家に呼ぶのに意外と有効な作戦」として、只今お気に入りの女子・N美ちゃんに「ボクの腕毛をワックス脱毛してくれませんか」とお願いし、まんまと自宅へと連れ込むことに成功したゴメス──だが、永久脱毛ではないため再び生えてきた腕毛をまた抜いてもらおうとアポイント取ってみたら……根が飽き性なN美ちゃんから「面倒臭~い。自分でやって」と、にべもなく断られてしまうハメに。

そんな容赦ない放置プレイにより、生えかけで盛り上がった皮膚の一部が湿疹状態となって赤く腫れ、かゆくてチクチクする……という惨憺たる状況下において、なんと!某美容クリニックから「脱毛体験ルポ」のお誘いが!?

その奇特なクリニックの名は、男性の医療脱毛専門院「メンズリゼ」! もはや「男子もムダ毛ケアは当たり前」という風潮が席巻する「脱毛バブル」のさなか、これまでも幾度かあった脱毛体験取材の依頼にずっと二の足を踏んでいた理由は、ザッと挙げると以下のようなものであった。

  • けっこう痛い」という噂が怖かった
  • 一度の施術ではツルンツルン状態にならない(=数回にわたり通院する必要がある)
  • 「原則として人間の毛にムダはない」という生理学的根拠の薄い自説への執着(=“処理”してしまえば最後、精力や免疫力を一気に失ってしまうのではないか…という不安)

しかし……背に腹は変えられない。しかも、一度(ワックス脱毛で)つるんつるん状態の快感味わってしまったら最後、もうあのころには帰れない……。ありがたくオファーを受けさせていただくことにしましたm(__)m

あのころ。

「前腕」&「手背」+シニア毛「耳毛」「眉毛」「鼻毛」の脱毛プランをチョイス!

「メンズリゼ」は「医療レーザー脱毛機での照射(医療脱毛)を提供している医療機関(クリニック)」であり、そのレーザーは毛のメラニン(黒い色素)に反応し、毛を生やすもととなる組織を破壊することで脱毛の効果が得られるのだという。

ちなみに、「医療脱毛(医療機関)」と「美容脱毛(エステティックサロン)」は、似て非なるもので、効果がまったく違ってくるらしい。

「医療脱毛」は、医師もしくは医師の監督・指示のもと看護師が行なう脱毛のこと。多くは厚生労働省より認可を受けた医療用レーザー脱毛機を使用しており、毛を生やすもととなる組織を破壊する行為は医療行為にあたるため、正確には「脱毛」が可能なのは、医療機関でのみとなる。

いっぽうのエステティシャン(一般のスタッフ)が施術を行なう「エステ(エステティック)脱毛」は、使用する機器(光脱毛器)の出力が弱いため、「医療脱毛」と比べ効果が出るまでのタイムラグが大きく、さらには時間が経過すると毛が元の状態に戻ってしまうこともあるんだとか。

一時的であっても減毛が可能な程度のエネルギーを照射する処置は「医療行為」になるため、本来エステサロンでは脱毛はできない。脱毛(=毛を生やすもととなる組織を破壊する行為)は医療機関でのみ可能なわけで、じつのところ大半のサロンでは「脱毛」ではなく「制毛」や「除毛」というワードが使用されている。

また、「医療脱毛」は、院内に医師が常駐しているので、万一なんらかのトラブルがあった場合でも迅速かつ適切な処置を受けることができるのも見逃せないメリット──「安物買いの銭失い」とはよく言うが、中途半端な“安価”に目が眩(くら)み、中途半端な「除毛」をするくらいなら、多少出費は嵩(かさ)んだとしても、キレイさっぱり「脱毛」してしまうほうが後々絶対にお得……ということだ。

今回、わたしがチャレンジしたのは、すべての照射可能範囲(23部位)から5部位を自由に選んで自分の理想のプランをつくることができる「セレクト全身脱毛」の5回コース──そのなかから「前腕」「手背」それに「シニア毛」(40代前後から長く伸び続けてしまう毛のこと。加齢に伴い細胞組織が衰え、毛が生まれ変わる毛周期が長くなってしまうのが原因)と呼ばれる「耳毛」「眉毛(眉間・眉上)」「鼻毛」の5部位をチョイスした。

健康診断の採血や献血のときでさえ、静脈に針を刺されたと同時に貧血を起こしてしまうほど痛みに弱く、加えて前回の「ワックス脱毛」ですでに脱毛の“痛さ”が脳内にインプリントされてしまっているこのわたしが、はたしてそんなにもガチな脱毛施術に耐え切ることができるのか!? 歯医者へ親知らずを抜きに行くレベルに、クリニックへと向かう足が震えて止まらない……。

レーザー脱毛に日焼けは禁物!?

どうにか約束の時間どおり、指定された「メンズリゼ」渋谷公園通り院を訪れる。まずはカウンセリングから。このたび全5回の施術を受けるにあたっての注意をいくつか受ける。

カウンセリングを受けるゴメス。真剣な表情!
  • 施術を受ける前には施術部分の毛をあらかじめ自身で剃毛しておく(剃り残しはスタッフが照射前に剃毛してくれる)
  • 脱毛期間中は日焼けを避ける(レーザーは黒色に反応するため、ガングロは火傷しやすく、レーザーの熱も分散しやすい)
  • 赤みやヒリヒリした痛みが消えない場合は塗り薬や飲み薬の処方も可能(エステでは薬の処方ができない)
  • 施術当日のお酒・長風呂・激しい運動はNG(血行を良くする行為は×)

……etc.。だが、歯医者で麻酔を打つときですら、クマのぬいぐるみを抱かなければならない(信じられないかもしれないが、そういう“ぬいぐるみサービス”を行なっている歯医者が都内に実在する!)ほど痛さに弱いわたしがもっとも気になるのは……やはり「痛みの度合い」である。

ゴメス:あのぉ~どの程度痛いんですか?

先生:輪ゴムで軽く弾かれた程度です。

ゴメス:その輪ゴムの直径はどれくらいですか? 業務用のビッグサイズな輪ゴムだと「軽く」でもけっこう痛いと思うんですけど

先生:痛みに弱いとおっしゃる患者様にはヒゲやVIO施術時、「塗る麻酔」または「笑気麻酔」をおすすめしておりますが

ゴメス:それ、やってもらおっかな

先生:腕の脱毛でそこまでやられる患者さんは滅多にいませんよ(微笑)。別料金もかかりますし。

ゴメス:そ、そーなんですね? わかりました…。

少なくともワックス脱毛よりは痛くなかった?

カウンセリングを済ませて施術室に移動し、しばらくすると……今日のわたしの脱毛を担当してくださる看護師さんがやってきた。

施術室(VIPルーム)。

性別は男性──なお余談だが、別のクリニックでVIO脱毛をやっている友人男性の担当は若い女性だと聞いた。「ヤングなネエチャンに股間をいじられて、勃起とかしないの?」と、その友人に素朴な疑問をぶつけてみると、「そんなんガンガンするに決まってますやん!」(←関西出身)「その子も『みんなそうですから自然に…気にしなくていいですよ』って言ってくれてはるし」ってことらしい。なるほど、脱毛上級者はそういった境地へと達するわけか……?

施術は「耳毛」「眉毛」「鼻毛」「前腕」「手背」の順番──まずは、脱毛部分に赤いペンで印をつけて、レーザー光が眼を傷つけないようにするためのアイマスクを着用。

いつなにが起きるのかが確認できないせいか、怖さは倍増する(見えたら見えたで、また別の種類の恐怖を抱いてしまうのだろうが…?)。

「シニア毛」は「YAGレーザー」という狭い的(まと)専用のマシンを使用し、照射回数は平均「片耳=約10発」「片眉=約10発」「片鼻=約5~6発」とのこと。

小さい的用の「YAGレーザー(熱破壊式脱毛機)」。噴射口からレーザーと冷却ガスが出て、効果が見えてくるのは約2~3週間後。

一応、耳と鼻の穴には綿を詰めて施術してくれて、さほど痛くはないものの、

耳毛脱毛→レーザー発射するごとに「バシュッ!バシュッ!」という音が間近で聞こえるのでビビる

眉毛(眉間・眉上)脱毛→目隠ししていても、レーザー発射することに「パッ!パッ!」と光が見える(気がする)のでビビる

鼻毛脱毛→毛が燃えるような独特な匂いがただよってくるのでビビる

……といったところか? 

そしていよいよ“メイン”の「前腕」&「手背」へと。「メディオスター」という広い部位専用のマシンを使用し、両腕で約30分。

広い部位用の「メディオスター(蓄熱式脱毛機)」。毛が抜け落ちてくるのは約3〜4週間後。

結果から申すと、ピリピリと「痛熱い」……みたいな感覚で「ワックス脱毛」と比べたら、痛みははるかにマシだった。

看護師さんの話では、骨張った部分や毛の濃い部分のほうが痛みは強く感じるらしく、本施術で一番わたしが痛かったのは「手の指」であった。

……以上、新しい“ムダ毛”が生えそろうのを待たねばならないので、次の施術は2ヶ月後──この原稿を執筆している現時点で、2回目の施術を終えている。わたしの腕毛は長いけど細いせいなのか、もはや放置していてもカミソリで処理できるくらいの毛しか生えてこない。

もはや2週間に一度くらい軽くカミソリで剃毛するだけで、ほぼつるんつるん!

「もう行かなくてもいいんじゃねえの?」

……と、持ち前のサボり癖が脳裏をよぎる……。「メンズリゼ」の広報さんは

「近ごろは、アンダーヘアや両脚を脱毛される男性も増えていますよ。ゴメスさんもいかがですか?」

……と、満面の笑みで煽ってくる。部位の小さいシニア毛や「長いけど細い」腕毛までならどうにか我慢できたが、剛毛が鬱蒼する太ももやスネや股間まわりだとそうもいかないだろう。だが、私の友人である某デリヘル嬢は

「そりゃあ、パイチンのほうがいろんな意味でありがたいから、好きですよ~!」

……と、告白する。わたしは今、「一体どこまでヤルべきなのか???」……猛烈に悩んでいる。そう! 美容整形と同様、いったん足を踏み入れてしまったら、とことんまでイッてしまいかねないのが「脱毛の世界」なのだ。

メンズリゼ 渋谷公園通り院


住所:〒150-0041 東京都渋谷区神南1-16-3
ブル・ヴァールビル 4F
電話番号:0120-966-290(初診)/ 0120-554-568(再診)
診療時間 :10:00~20:00(休診時間14:00~15:00)
公式HP:https://www.mens-rize.com

取材協力:メンズリゼ 渋谷公園通り院

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文筆家・イラストレーター
山田ゴメス

大阪府生まれ。年齢非公開。関西大学経済学部卒業後、大手画材屋勤務を経てフリーランスに。エロからファッション・学年誌・音楽&美術評論・人工衛星・AI、さらには漫画原作…まで、記名・無記名、紙・ネットを問わず、偏った幅広さを持ち味としながら、草野球をこよなく愛し、年間80試合以上に出場するコラムニスト兼ライター&イラストレーター。『麗羅』(漫画原作・作画:三山のぼる/集英社)、『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版)、『「モテ」と「非モテ」の脳科学~おじさんの恋はなぜ報われないのか~』(菅原道仁共著/ワニブックスPLUS新書)ほか、著書は覆面のものを含めると50冊を超える。特に身体を張った体験取材モノはメディアからも高い評価を得ている。2019年、HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)カウンセラー資格取得。2020年、温泉マイスター取得。2022年、合コンマスター取得(最年長)。
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