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「教えてくれて、ありがとう」

あなたはまだ知らない「タオル」がもたらす幸せな世界

author: 澤村 尚徳date: 2022/05/11

ホームセンターやファストファッションブランドでも購入できるが、専門店の極上タオルを触れたときの、あの溶けるような、そして頬ずりしたくなるようなフンワリとした肌触りのものには出合えない。空気の層に優しく包まれる感覚を一度知ってしまうと、戻れなくなるほど。

たかが体を拭くものに大げさなようだが、実に奥深いのだ。同じように見えても素材や織り方、大きさは多彩。どうしてもブランドやデザイン、カラーにとらわれがちだが、本来の目的でいえば、吸水性や肌触り、耐久性、ボリューム感が大事なのである。そう考えると、触ることなく購入するのは、至福の機会をみすみす逃しているのだ。

ドライで使うかウェットで使うか

一般的にタオルといえば水に濡れた体を拭くものという意識があるが(9割方正しいが)、ドライユースだけでなく、ウェットユースもある。乾燥した状態で使うドライユースでは、ボリュームがあって吸水性に優れることが必須条件。一方のウェットユースでは、濡れたときに重かったり、絞りにくくなったりしないよう、薄くて扱いやすいものが望まれる。

耳にかける穴のついたサウナタオル。両耳にかけてマスクのように顔を覆える
頭や体に巻くのに十分な113.7cmのサウナタオル。中央はパイル地、両端は手ぬぐい生地で、洗いやすく、絞りやすい

最近、お風呂で体を洗うときには化学繊維のボディタオルを使用し、浴用タオルは使わないという人は多そうだが、逆に増えているのがサウナタオル。薄く、絞りやすくなっているうえに、サウナに入ったときに頭に巻いたり、耳にかけて顔を隠したりできるような仕様になっている。

用途に合わせて選べるサイズ

タオルのサイズもまたいろいろ

サウナタオルのほか、スポーツタオル、ベンチタオル、タオルマフラーなど、細分化されているが、自宅で使うのは約20~40cm四方のウォッシュタオル(ハンドタオル/ゲストタオル)、約25~35×70~100cmのフェイスタオル、約50~75×100~140cmのバスタオルの3つ(サイズは統一規格がないので、おおよその目安)。

ウォッシュタオルとは、欧米人が入浴時に体を洗うために使うことからこう呼ばれるそうだが、日本ではハンドタオルやゲストタオルと呼ばれる。汎用性が高く、外出時に一枚持っていけば重宝する。ホテルで一番上に置かれている(ことが多い)タオルで、何に使うのか迷ったことがある人も多いのでは。

フェイスタオルは、洗顔後に顔を拭いたり、髪をまとめたり、ハンガーにかけて手を拭いたりするのにちょうどいいのサイズ。手拭いのサイズが基本になっているといわれる日本独自の規格だ。

バスタオルはいうまでもなく、入浴後に全身を拭くタオルで、小判からレギュラー、大判までサイズは豊富。ボリューム感や肌触りの違いも多彩で、フワフワなタオルに包まれたときの幸福感は、どのタオルにも勝る。よく「ホテルのタオルは最高!」といわれるが、ホテルのタオルは耐久性が求められるためフワフワ感よりも、しっかり感があるものの方が多い。

フワフワなタオルに包まれたときの幸福感はやみつきに

素材による違いを楽しむ

タオルの素材は、綿(コットン)、麻(リネン)、マイクロファイバーの3つ。

なかでもタオルといえば、コットンといっても過言ではない。種類や生産国は膨大であり、それぞれ特性は異なる。最近は有機栽培されたオーガニックコットンにこだわっているメーカーも増え、前年に収穫したコットンだけで織り上げ、“コットンヌーボー”として展開しているブランドもある。

綿の種類はもちろん糸の太さや織り方によって、肌触りも変わるため、タオルの優しさを感じるならコットンがベスト! シーアイランドコットンやスーピマコットン、新疆綿など、長繊維種の高級綿を使ったタオルもラインナップされている。

次に意外なようだが、リネン。薄く、吸水性に優れ、耐久性も高いため、長く使え、味が出るのも特徴。暑い季節や湿度が高い季節にもおすすめ。

最後は、ポリエステルやナイロンなどの化学繊維でできたマイクロファイバー。柔らかくて吸水性、速乾性に優れているが、こすりすぎると肌を傷めやすいので注意が必要。浴用のボディタオルに使われることが多い。

撚(よ)り、織り、加工がタオルのキモ

タオルの肌触り、ボリューム、吸水性を左右するのが撚り、織り、加工。無数にありすぎてすべてを語れないが、まず糸は撚糸(ねんし)か無撚糸(むねんし)かに分けられる。

撚糸とは糸に撚りをかけることで、風合いや肌触りを変えたり、強度を高めたりすることができるのだ。一方、無撚糸はその名の通り、撚りをかけていない糸で、強度が低くなりがちだが、その分、柔らかな感触を楽しめる。デリケートなので、手入れには注意したい。通常の糸は撚ってあるので、無撚糸のタオルにのみ「無撚糸」と付けられていることが多い。

次に織り方。タオルの基本といえば、なんといっても「パイル織り」。表面をじっくり見るとわかるが、いくつもの輪っか(ループ状のもの)からなっている。

パイルが長く、吸水性が高い柔らかなタオル

この輪っかを「パイル」といい、このパイルの長さや糸の太さ、綿の種類、織り密度で、吸水性や弾力性は変わってくるのだ。パイルが長ければ表面積が広くなるため、吸水性は高くなり、空気を含むことで弾力性も高くなる。その代わり、引っ掛けるとパイル抜けが起こってしまう。

撚りが強く、耐久性が高い硬いタオル
短いパイル
長いパイル
パイル抜け

◆シャーリング

そしてこのパイルの先端をカットしたものが「シャーリング」。カットパイルとも呼ばれ、ベルベットのようなやさしい肌触りになるのが特徴だが、パイルよりも表面積が狭くなるため吸水性は劣る。プリントののりがいいので柄物やギフト、イベント用タオルに使われることが多い。

◆ワッフル

パイルがなく表面に凹凸感が出るように織られたのが「ワッフル」だ。その形状から“蜂巣織り”ともいわれ、パイル地が量産されるようになった1850年代以前の主流。柔軟性があり、伸縮性、吸水性に優れている。

◆ガーゼ

目が粗く柔らかな平織りの布が「ガーゼ」。目が粗いため軽く、柔軟性があり、乾きやすいため浴用タオルや赤ちゃん用として重宝される。多くは片面がガーゼ、片面がパイルで織られたものが多い。

◆ガス焼き

変わったところでいうと「ガス焼き」。撚った糸の表面のケバをガスの炎で焼いた糸で織られたもの。シルクのようなツヤと、シャリ感のある肌触りが特徴だ。

タオルとの出合いは一期一会

どんなものでもそうだが、タオルとの出会いも一期一会。糸の太さ、パイルの長さ、肌触り……触ってみなければ分からないし、フカフカならいいのかといえばそうではないし、高級綿を使っていればお気に召すかといえばそういうものでもない。本当に好みでしかない。ただいえるのは、お気に入りの1枚に出合えれば、間違いなく幸福度がレベルアップすることは間違いない!

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編集者
澤村 尚徳

大学卒業後、雑誌、書籍をはじめ、さまざまな紙媒体の編集に携わる。2017年、全国誌の編集長からITベンチャーに転職。コンテンツ作成、イベントプランナー、オウンドメディア編集長を経て、現在、出版社系Webメディア編集長。コンテンツ作りや体制作り、データの分析・活用など、企業メディアにおけるお悩み解決もしている。
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