この物語は、家電コーディネーター・調理家電研究家の戸井田満樹(まんじゅ)がチャレンジする、「実録! 20代男子のマニアメシ」である。第1回目は「キューバサンド」に挑戦し、第2回目は「ロウリーズ・ザ・プライムリブ」の味を再現してみた。まだ見てないよ、という人は、本記事の最下部をチェック!
私は昔からケーキというものがあまり得意ではなかった。スポンジと生クリームが苦手で、ほとんどのケーキが食べられず…。誕生日などの祝い事では、必ずと言って良いほどアップルパイを食べていた。そのせいか今でもアップルパイは大好物。
胃袋を満たす、ガッツリとした揚げアップルパイが食べたい! 作りたい!
ということで今回は人生初のお菓子作りにチャレンジしてみよう。と言ってもオシャレなホールのパイではない。ファストフード店でよく見かけるジャンキーでガッツリとした“揚げパイ”を作っていく。
つねづね思っていることだが、ファストフード店で食べられるアップルパイは微妙に量が少ない。もちろんサイドメニューなので当たり前ではあるが、もっとガッツリ、ガッツリと食べたい! といのが男心。かつ、安心して食べられるものが望ましい。市販のパイでは実際のところ何が使われているか分からず、大量に食べるのは若干気がひける。材料にもこだわって至高のアップルパイを目指すことに決めた。
まずは毎度のごとくレシピを考える。アップルパイの要素は大きく分けてふたつ。包むためのパイ生地と、中のアンである。冷凍パイ生地を買ってきて作るのでは安易過ぎるので、パイ生地から自作していこう。もちろん中身もしっかりリンゴから。
調べてみるとパイ生地には作り方が2種類あるらしく、ひとつはよく知られている生地にバターを挟み込んで折っていくやり方。こちらはケーキ屋などでも使われている王道の方法で、軽くサクッとした食感が持ち味。かつ、それが日持ちすることから持ち帰り販売にも向いているらしい。
そしてもうひとつが生地に直接バターを練りこんでいく方法。こちらはバターと小麦粉で生地をあらかじめ作ってしまうので作成が簡単。そして、ここが一番大事なポイントで、軽いサクッとしたパイではなくサクッと感がありつつ、重めな焼き上がりになるらしい。なるほど。今回のジャンクなアップルパイにはうってつけの生地というわけだ。生地のサクッと感が日持ちしないと言うデメリットがあるが、今回は保存用ではないので問題なし。
続いて中身のアン。りんごジャムのような作り方かと想像していたが、どうやらあのトロッと感は水溶き片栗粉が肝らしい。こちらは簡単に作ることができそうだ。
生地づくりはキンキンに冷えた部屋で!
レシピも固まったので早速生地の準備から。パイ生地作りは温度との勝負、バターがあっという間に溶け始めるので部屋の温度は限界まで下げる。IHではなくガスコンロの場合は火を使うのも厳禁! とにかくキンキンに冷えた寒い室温で、調理を進めていく。
薄力粉と強力粉を90gづつ用意、まずはバター150gと合わせていく。
この作業、手でやると小麦粉とバターがしっかりと混ざるまで時間がかかるのだが、フードプロセッサーを使うと瞬間で下準備を終わらせることができる。ここではボンヌ(レコルト)のカプセルカッターを使用した。
本来手で行なう場合は小麦粉を網で振るい、ダマを無くし、バターを細かくカットして合わせていかなければならない。でも、フープロを使えば非常に簡単。
まずは小麦粉だけで刃を回してダマがない状態にし、バターは分量をそのまま放り込めば良いだけ。今回は無塩バターを使用したので、いったん止めて塩を少々追加。有塩バターを使う場合は塩加減に注意が必要だ。
ある程度まとまりが出たらボウルに移して水70ccを3回ほどに分けて投入していく。この作業をフープロでやると、生地の重さで壊れかねないので最後は人の手で。また、ここから先の作業は生地がくっつかないように必ず打ち粉を使うこと。まな板や手に生地がくっついてしまい収集がつかなくなるので注意。
電動パスタマシンがあると、簡単に引き伸ばせて便利
生地がまとまったらめん棒で生地を伸ばして折りたたんでいく…のだが、めん棒で伸ばすのは疲れるので、アトラスモーター(MARCATO)の電動パスタマシンを投入。生地をパスタマシンの一番厚みのある設定で伸ばしていく。
伸びきったら3つ折りにして冷蔵庫で冷やす。最低でも30分は冷やさないとバターが溶けてグニョグニョの生地になってしまうので、できれば1時間は寝かしておきたいところだ。
生地が十分に冷えたら、今度は先ほどと90度回転させたあたりから伸ばして、さらに3つ折りに。これを後2回ほど繰り返せば完成だ。
出来上がった生地は4〜5mmに伸ばして使う大きさにカットしてする。すぐに使わない分は冷凍しておくと良いだろう。
アップルパイの中身はトロトロに
出来上がった生地を休ませている間に次は中身を作っていこう。アップルパイの中身はいたってシンプル。皮をむいたリンゴひとつを5mm程度のサイコロ状にカットしてそれを煮詰めていく。
煮詰める際は水を100ccほどと砂糖を大さじ6か7。入れるときはちょっと引いてしまうぐらいの量だがここでビビってしまうとなんともパンチのない薄味のアンができてしまうため、思い切って砂糖は沢山入れよう。
十分煮詰まってきたら、リンゴジュース(できれば100%のもの)を150ccと、レモン果汁を大さじ1ほど入れて、さらにひと煮立ち。味見をして味がぼやけるようだったら、ほんの少し塩を足すとはっきりとした味になる。
最後のひと煮立ちが終わったら、水溶き片栗粉で好みのとろみにして完成。涼しいところで冷やしておこう。
パイ生地でアンを包んでいこう
いよいよ、最後の工程。アンが冷めたら作ったパイ生地で包んでいく。生地の閉じた部分はフォークの背でグイグイと押して開かないようにしっかり閉じる。片側だけで良いのでフォークで突き刺し、小さな穴を開けておくと中が膨らんで生地が裂けるのを防げる。
いよいよ揚げ工程! 温度は高温に
ここまできたら、あとは揚げるだけ! 油の温度は150℃・170℃・200℃で、それぞれ試してみた結果200℃が一番きれいに揚げることができた。
低い温度だと時間がかかってしまい、中の生地が膨らむころには外側がバリバリになってしまう。高温で素早く揚げた場合は外がカリッと、中はほんのりしっとりした感じがうまく出せていた。調理環境に左右されるので絶対というわけではないが、参考にしてみてほしい。
出来上がりは上々。大きさも狙った通り、ひと回り大きくできた。中身もトロッとしていて成功と言って良いだろう。写真撮影もほどほどに、熱いうちいいただきます!
これは美味しい! ボリュームも満点だ。だがしかし、
カリッとしたパイの中から甘いリンゴがとろけてくるこの感じ。まさしくファストフード店で食べるあの味だ。揚げたてということもあり、これはかなり美味しい。実際に店のものと食べ比べてみると、パイ生地が少し固くよりサクッと感が強い印象。もう少し生地を薄くすれば近づきそうだ。味はほぼほぼ一緒、相当美味しくできている。
大満足の末、まるまる一個食べて思った事がある。アップルパイのあのサイズ感は適切な大きさであった。正直この大きさになるとかなり重い。あともうひと口食べたいなと、名残惜しさが後味の良さに繋がっているよう。次回作るときは欲張らずに、小さめのアップルパイを作ることにしよう。
フライドアップルパイ
今回の材料まとめ(2〜3人分)
パイ生地
薄力粉 90g
強力粉 90g
無塩バター 150g
塩 少々
打ち粉 分量外
パイの中身
リンゴ 1個
砂糖 大さじ6〜7
水 100cc
レモン汁 大さじ1くらい
塩 少々
今回の調理家電まとめ
カプセルカッター ボンヌ(レコルト)
電動パスタマシン アトラスモーター(MARCATO)
こっちも見てね!「実録! 20代男子のマニアメシ」過去記事
高級店、ロウリーズ・ザ・プライムリブの味を再現する : https://www.beyondmag.jp/posts/41
あの映画で見たキューバサンドが食べたい!作りたい! : https://www.beyondmag.jp/posts/12