無性に肉料理が食べたくなる瞬間がある。きっと多くの人が感じたことがあるだろう。普段は色々な部位が食べられる焼肉や大きな肉をガッツリと食べるステーキが候補だが、今回はいつもと違う肉に手を出してみる。私の足は、ロサンゼルス創業の「ロウリーズ・ザ・プライムリブ」へと向かった。
この物語は、家電コーディネーター・調理家電研究家の戸井田満樹(まんじゅ)がチャレエンジする、「実録! 20代男子のマニアメシ」である。
皆さんは「プライムリブ」という料理を食べたことがあるだろうか。ステーキよりもローストビーフに近い肉料理。厳密に言えば部位の名前で、リブとサーロインの間にあるグレードの高いリブのこと。この部位を使った代表的な料理をプライムリブと呼ぶ。今回はこのプライムリブを専門に扱っているアメリカ発祥の有名店「ロウリーズ・ザ・プライムリブ」にて、初めてのプライムリブをいただくことに。
いざ入店、
ゴージャスなプライムリブを
目の当たりにする
さっそくお店に足を運ぶと、さすがは高級店。スタッフの案内から内装までしっかりとコンセプトが統一されている。これは肉への期待値もぐんぐん上がっていく。お昼はサラダバーやスープ、デザートもビュッフェ方式なので、はじめての人はランチがおすすめ。肉はサイズを選んで注文をするとシルバーカートで登場。その場で焼き加減をオーダーし、カーバーが綺麗に盛り付けてくれる。
最高の焼け具合、
まさに求めていた肉である。
ありふれた感想になってしまうが、とにかく柔らかい。自分が噛んでいるのを疑うほどの柔らかさ、そして溢れ出る肉汁が次へ次へとフォークを進ませる。グレービーソースやホースラディッシュなどで味変も楽しめ、飽きることなく食べることができ、さらに付け合わせのクリームドスピナチとマッシュポテトが絶品! これ単体で食べたくなるほどの美味しさだ。
最高の満足感とともに店を後にし、ここからが本題。この味を家で再現はできないものだろうか? 肉料理はシンプルが故に難しい。難しいものこそチャレンジしたくなるのが男心。そうと決まればレシピを固めて買い出しへ。
材料集めは妥協しない
主役の肉はたしかに美味い。だがそれを引き立たせる付け合せも重要だ。今回食べてみて、とくに記憶に残っているのがクリームドスピナチとマッシュポテト。これらのレシピ自体はネットでも数多く出回っているため、作るの自体はそう難しくない。
だが材料集め…、とくにメインの肉はプライムリブという部位自体が日本に馴染みがなく、探すのが大変だった。
私は今回のプライムリブ塊を手に入れるために、スーパーと精肉店を4件ハシゴし、ようやくお目当てのものに出会えた。今回の主役はあくまで肉。ここで妥協は許されないが、手に入れるまでがひと苦労かつ値段も張る。「もういっそ店で食べた方が」とも思うが、この手間が自炊の醍醐味だったりする。
美味しさはしっかりとした下準備から
食材がひと通り揃ったところで、ようやく調理開始。まずは肉の下ごしらえから。ロウリーズ・ザ・プライムリブのホームページを見ると17種類のシーズニングを使っているようだが、これをイチから探し当てると年単位の研究が必要になりそうなので、今回は自分好みのシーズニングで準備をしていく。
塊肉に隙間がないよう塩と胡椒をすり込み、スライスしたニンニクを上下にひいた状態で2〜3時間常温に戻していく。塩加減は人間の塩分濃度である0.8%に近いほど美味しく感じるので、後からソースをかけることなども加味したうえで肉総量の0.7% グラムの塩を使用した。ここで注意すべきはラップなどをかけないこと。パサパサになってしまうか心配になるかも知れないが、塩で肉汁が表面に出て余計な水分をとばし、旨味成分たっぷりの肉汁は再度、肉が吸ってくれる。ほどよく水が抜けた表面はメイラード反応が起きやすく、綺麗な焼け目をつけることができる。
付け合わせも重要、手作りで合わせる
肉を常温に戻している間に、付け合わせも作っていく。まずはマッシュポテト。塩茹でしたジャガイモをマッシャーで潰し、火にかけながらクリームと混ぜていく。意外と手間がかかる料理の代表格だが実は超絶簡単に作る方法がある。シャープの『ヘルシオ ホットクック』を使うのだ。
知っている人は知っている、ホットクックオーナーには人気のレシピ。上記の工程を全部1台で済ましてくれる。やることは簡単。皮をむいてサイコロくらいの大きさにきったジャガイモと、その1/3ほどの水を入れ「ジャガイモのポタージュ」メニューを押すだけ。これで蒸して潰した状態まで持っていってくれる。ジャガイモが十分に潰されたらヘルシオから材料追加の指示があるのでバターやクリーム、塩胡椒などでを入れて再度放置。実働10分ほどで信じられないほど高クオリティのマッシュポテトが出来上がる。
続いてクリームドスピナチ。ほうれん草を使った定番の付け合わせだが、どうもロウリーズ・ザ・プライムリブのそれは今までのものと味が違う。何が入っているか聞いてみると、カリカリのベーコンを使用しているとのこと。どうりで香ばしい香りがしていた。
隠し味もわかり、さらにもうひと工夫。単純にほうれん草を塩茹ですると色が抜け落ち、味気もなくなってしまう。そこでシャープのウォーターオーブン『ヘルシオ』のスチーム機能を使って茹で野菜に。茹でたほうれん草を細かく刻み、細かくしたカリカリのベーコンとニンニクをバターで炒めて、その中に投入。薄力粉と生クリームを合わせてホワイトソースにしていく。薄力粉を一気に入れてしまうとダマになり焦げてしまうので、少しずつ生クリームと混ぜながら足していこう。
いよいよ肉の火入れ! 焦らずじっくりと
付け合せを作っているうちに肉が常温になったら、いよいよメインの調理に取りかかる。まずはフライパンを強めの火で熱して表面を焼き固めていく。熱くしすぎると余計な熱が入ってしまうため注意。手をかざして5秒くらい耐えられるぐらいが理想だ。肉は側面までしっかりと焼き固める。押し付けたりはしないように細心の注意を払って。
フライパンで表面を焼き終えたら、200度に余熱したオーブンの中にイン。火入れは立ち上がりが速く、油切れの良いグリル鉄板がついているパナソニックのスチームオーブンレンジ『ビストロ』を使用した。
肉の厚さ、大きさなどで時間が異なるため、最初は20〜30分ほどで様子をみよう。温度計がある場合は中が60〜70℃、ない場合は串を刺し唇でほんのり熱さを感じられる程度が理想だ。
今回は肉の脂肪分が多く少し脂を出したかったのと、中まで火を通すため長めに時間をとった。レアに仕上げたい場合は180℃で設定すると良いだろう。焼いている間に赤ワインベースのグレービーソースを作るのも忘れずに。先ほど表面を焼いて脂の残ったフライパンに赤ワインと砂糖、はちみつでコクと甘みをだし、醤油で塩見と香りを追加。最後にバルサミコ酢を入れると肉との相性抜群だ。
実食、店の味に近づけたのか…いざ実食
盛り付けをしていよいよ運命の実食。店の味には近づけたのか? 結論として付け合わせはほぼ満点。肉は70点と言ったところか。
クリームドスピナチとマッシュポテト、これは店に負けないレベルの完成度だ。とくにポテトの滑らかさはちょうど自分好みにできた。これ以上水分が多いとホクホク感がなくなってしまうギリギリのラインでクリーミーに仕上がっている。クリームドスピナチもお店同様、ベーコンがしっかりと効いた濃厚な仕上がりだ。
主役である肉だが、味付けは我ながら完璧。流石に店には劣るものの、かなり良い線に達している! だが、少々火を通しすぎてしまったようだ。やはりもう少し時間を短めに切り上げるべきだったかもしれない。もちろん、これはこれで美味しいのだが、あの煮込んだような柔らかさとプルプルとした水分量が足りていない。肉の火入れは本当に難しい。
再チャレンジしたくなる休日料理。お店の味を再現するというチャレンジは、自分のなかで非常に大変だと思っていたが、ふと振り返ってみるとやることは多くない。マッシュポテトなんてヘルシオがあれば放置でできるし、クリームドスピナチもほうれん草を煮なくて済むのでフライパンひとつで完成だ。もちろん、肉の焼き具合には神経を使うが、やることはシンプル。意外と初心者がとっつきやすいのかもしれない。今回の宿題は肉の焼き加減。次の休みが待ち遠しい。
今回の材料まとめ(2〜3人分)
ロウリーズ・ザ・プライムリブ
お肉
- プライムリブ 700g
- タイム 適量
- ニンニク 約5かけ
- 塩 肉総量の0.7%
- 胡椒 適量
マッシュポテト
- じゃがいも 2〜3個
- 水 約100mlほど
- バター 10g
- 牛乳 50ml
- 生クリーム 50ml
- 塩こしょう 適量
- 顆粒コンソメ 小さじ2
クリームドスピナチ
- ほうれん草 2束
- ベーコン 3枚※事前によく焼いておく
- ニンニク 3かけ
- バター 10g
- 薄力粉 大さじ2
- 生クリーム 50ml
- 牛乳 50ml
- ナツメグ 適量
- 塩こしょう 適量
グレービーソース
- 赤ワイン 100ml
- はちみつ 大さじ1
- さとう 小さじ1
- バルサミコ酢 適量
- 醤油 適量
今回の調理家電まとめ
- ヘルシオ ホットクック(SHARP)
- ヘルシオ オーブンレンジ(SHARP)
- ビストロ(Panasonic)