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僕らを超えたキッチンツール

NYピーラー物語。たったひとつの愛をカタチに

author: 藤原 奈津子date: 2021/09/12

おしゃれな時計にいい自動車、それからグルメ。僕らのセンスは上昇中。きっと、次なる世界が僕らが上がる最後の大人センスの階段、それはキッチンツールの世界! ニューヨークの夫婦愛から生まれた、これぞ“ユニバーサルデザイン”なピーラーって、つい欲しくなりませんか?

キッチンツールに対して“デザイン”というセンスをはじめて感じたのは、キッチンツールブランド・OXO(オクソー)の「タテ型ピーラー」でジャガイモの皮をむいた瞬間でした。皮をむくという調理は、人が求める美味しさへの好奇心であり、食材のコアと出会える、いわば料理の始まりを告げる幕開け。

人はなぜ、包丁でもできる“皮むき”という行為に対し、ピーラーを使うのでしょうか? この皮むき専門道具「タテ型ピーラー」のアプローチデザインから、調理におけるショートカットの醍醐味、そして、プロダクトデザインにおけるユニバーサルデザインの本質を感じることができるでしょう。

1990年のニューヨーク。創始者サム・ファーバーは、関節炎を患う妻・ベッツィがリンゴの皮を剥くのに苦労している姿を見て、なぜ毎日使うキッチンツールで手を痛めることがあるのだろう? と疑問を持ちました。「愛ゆえに人は苦しまなければならぬ?」、いいえ、愛ゆえにサムはベッツィにもっと使いやすいピーラーを作ることを約束したのです。この約束こそが、世界的に有名なキッチンツールブランド「OXO」の幕開けです。

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限定されたシチュエーションに着想を得たからこそ、手首に負担をかけない使い勝手は追求されました。肘下から手首、ピーラー先までの動線を考慮し、T型ではなくI型のタテ位置刃を採用。持ち手は柔らかくて滑りにくい、持ちやすい素材で、太めのグリップが握った手にフィット。

シャープでよく切れるステンレススチールの刃は“あそび”があるので、特に丸い食材の皮に沿いやすいです。もちろんさまざまな食材の形状によって、手前から向こう側へ、向こう側から手前へと、自在な刃さばきでスーッとしたスムーズむきを体感できます。

まさに“ベッツィのためのピーラー”は、今や私も含む、世界中の“ベッツィな人達”が愛用する人気商品です。それにしても、かのニュートンもインスパイアされたリンゴには、文化を進化させる力があるかもしれません……。

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大規模なリサーチ、100を超える試作品、幾度にも及ぶデザイン修正を経て、「GOOD GRIPS(グッド・グリップス)」シリーズとして、このタテ型ピーラーを含む15のOXOキッチンツールがアメリカでデビュー。人間工学に基づいたユニバーサルデザインは、業界に、製品に求める「使いやすさ」「機能性」という新基準をもたらしました。その改革は、多くのキッチンツールに影響を与えます。料理においてのツールの使いやすさが、多くの人にとって義務的な作業だった文化を超えて、料理の楽しみや好奇心という新時代のセンスを与えたのです。

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特に、優秀な刃物系キッチンツールがもたらすスムーズな使い勝手は、料理の負担を減らします。タテ型ピーラーによる、圧倒的な皮むきの快適さ=調理工程のショートカットは、忙しい僕らこそ投入の価値あり。

「わがジャガイモに一片のむき残しなし!!」

ピーラーは、料理の鉄人並みの包丁使いのように、スーッと皮をむいてくれるので、誰でも食材の美味しい部分を無駄なく料理できます。

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平均年齢31.5歳。オクソーニアン(OXOの社員のニックネーム)には、Mr.ビーンとM&Mのコマーシャルに出演したことのある人、サルに2度噛まれたことのある人など……世界各国からさまざまな異なる背景を持って集まった人が働いています。

1990年、より多くの人にとって使いやすい製品デザインである、ユニバーサルデザインの理念のもとに創業。ブランド名の「OXO(オクソー)」という言葉自体に意味はなく、左右どちらから見ても、上下斜めどの角度から読んでも、また英語だけでなく、世界各国の言語でも覚えやすいようにユニバーサルデザインされたブランド名です。 

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ニューヨーク本社の壁一面にディスプレイされた、片方だけ落ちていた手袋たち。大きな手、小さな手、男性の手、女性の手、お年を召した方の手……さまざまな手に合った製品を作るという、OXOの使命を忘れないための道標です。ベッツィの手から始まったたったひとつの愛のカタチは、30年経った今では1000種類以上もの愛のワンシーンをOXOプロダクトとしてカタチにし続けています。 

OXOは、地球をみんなの“Home”であると考え、地球環境をより良くしていくべく、 “1% for the Planet”の一員として、さまざまな環境問題に取り組む非営利団体へ売り上げの1%を寄付し、活動を支援しています。毎日の生活をより快適にする製品作りと、地球にとっての快適さへの配慮。OXOのユニバーサルデザインへの挑戦は、ものづくりという概念をも超え進化し続けています。

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A. OXO「アングルドメジャーカップ(中)」1650円、B. 「クリアサラダスピナー(小)」3850円、C. 「ステンレスポップコンテナ」1430円~、D. 「オートドリップコーヒーメーカー」2750円

禅に通じるが如く、思想は内省によりセンスとなると感じます。キッチンツールは、性別に関わらず誰もが手にするプロダクト分野です。日々と向い合い、自分なりに求めるモノを、心踊りながら選び使うことで、そのセンスをモノにできます。そこには、巷の流行り廃りではなく、真摯なものづくりに対する目利きを鍛えるチャンスがあります。



OXO「タテ型ピーラー」

1100円
サイズ:縦 約19cm
横 約4cm
高さ 約3cm
重量:約66g

https://www.oxojapan.com

取材協力:ワイ・ヨット

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栄養士/クリエイティブディレクター
藤原 奈津子

秋田県出身。6種のクリエイティブ職種で第一線活躍し続ける新型フリーランス“ダヴィンチworker”として注⽬される。“ものづくり”の先をデザインする独自の「アプローチデザイン思考法」を軸に、クリエイティブディレクター/コピーライターとして、雑誌広告などで広告賞も受賞。料理研究家として、雑誌、広告、CM、TV、レシピ開発など実績多数。PR広報/ブランディングプランナーとして「もち麦」のブーム構築など、担当ブランドは続々ヒット。しかも、キッチンツール萌えと独自解釈が高じ、おもしろ過ぎるキッチンツールマイスターとして通販番組に出演し完売を連発中。
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