雨の日だけでなく、PM2.5や黄砂などの不安から外干しを控える家庭が増えている。室内干しをすると、なかなか乾かなかったり、ニオイが気になったりしがちだが、そういった不満も衣類乾燥除湿機があれば解消できる。今回の徹底比較レビューは最新衣類乾燥除湿機を比較テストした。アイリスオーヤマ、シャープ、パナソニック、三菱電機の4種類で、どれも売れ筋の人気モデルだ。
衣類乾燥除湿機を選ぶ際は、使用環境による得意不得意があるので、除湿方式についてはじめに触れておきたい。現在、販売されている除湿機はコンプレッサー式とデシカント式(ゼオライト式)、2種類を組み合わせたハイブリッド式の3種類に分かれる。コンプレッサー式はエアコンの除湿と同じ方式で、部屋の空気を冷やして湿気を水滴にしてから除去する仕組み。気温が高いと除湿能力が高く、消費電力は低い。
デシカント式は、乾燥剤のゼオライトで湿気を除去する方式で、乾燥剤に吸着した水分をヒーターで加熱して集める仕組みとなっている。そのため気温は関係なく、冬場でも問題なく除湿はできるが、室温は上がる。どちらかというと、冬場の結露などを取るのに向いているタイプだ。ヒーターを使用するので消費電力は高い。
両方の「いいとこ取り」をしたのがハイブリッド式で、一年中快適に使うことができる。夏でも冬でも室温に関係なく使えるが、高額になる傾向がある。今回試した中では、ハイブリッド式がシャープとパナソニック、三菱電機とアイリスオーヤマの衣類乾燥除湿機がコンプレッサー式だ。
一年を通して使用するのであれば、ハイブリッド式が適している。ただ、三菱電機のように低い温度でも使える「冬」モードなどを備える機種もある。比較的冬でも室温が高いマンションなどであれば、冬でも問題なく使うことができるので、機能もチェックしておきたい。
梅雨時や蒸し暑い夏場であればコンプレッサー式でも十分だろう。使用環境に合わせて、乾燥方式や機能を確認してほしい。
バランスのよく使いやすい
シャープの衣類乾燥除湿機が1位に
1位に輝いたシャープの衣類除湿乾燥機は、除湿性能と衣類乾燥のバランスがよく、使い勝手のよさで選ばれた。除湿性能については他社も遜色なかったが、特に衣類乾燥機能は洗濯物の量や干す場所に合わせて上下風向の角度を選べるほか、左右はスポット、スイング、ワイドから選べるので自由度が高い。横方向のスイングまでできるタイプは、今回試した中ではシャープとパナソニックだけとなっており、大量に洗濯物を干しても隅々まで風がよく当たり、乾燥が早かった。
アイリスオーヤマはルーバーの角度を指定できない唯一のモデル。また横のスイングもないため、洗濯物の当てられる範囲が限られるが、少人数の衣類乾燥は十分で、多くの機能は必要がないという方には、価格も手頃なのでおすすめできるモデルだ。
特徴的な機能として便利だったのがシャープの「衣類消臭運転」だ。このモードで衣類にしっかり風が当たるようにすると、衣類に付着してしまったイヤなニオイを薄くすることができる。昨年着ていたコートはこもったようなニオイが気になって居たが、2時間ほど当てたところ気にならなくなった。
お手入れの面でもシャープの衣類乾燥除湿機は優秀だった。排水タンクの水を捨て、定期的にしっかり洗わなければならないが、しっかりした取っ手がついていて持ち運びがしやすい。また、タンク内を洗うときも凹凸が少なく、ほぼ四角い形状なので一番洗いやすい。他は排水タンクの形状が複雑で、お手入れがしにくい。水をこまめに捨てれば中が極端に汚れることはないが、やはり水を扱う家電なので、お手入れのしやすさも大事だ。
また、移動のしやすさも注目してほしい。衣類乾燥除湿機は空気清浄機のように出しっぱなしで使う家電ではなく、部屋の除湿や衣類乾燥をしたい時だけ使用することが多い。使用時のたびに出して使うことになるが、特にコンプレッサー式やハイブリッド式のタイプは重いのだ。大きさやフォルムは空気清浄機に近いが、中の構造はエアコンに近いので衣類乾燥除湿機はずっしり。今回試したモデルもすべて10kg超えで、重いタイプは15kgもある。裏のキャスターの動かしやすさや取っ手の位置なども確認し、自分が持ちやすいものを選ぶことで持ち運びのストレスは減るだろう。
除湿の性能面はどれも優秀だったが、風の当てやすさ、お手入れのしやすさなどは各社で異なる。操作性なども含め、バランスがよかったのはシャープの衣類乾燥除湿機だ。イヤなニオイなどに悩まされることがなく、カラッと乾燥した衣類を着ることができる。
室内干しや部屋の除湿が簡単にできる衣類乾燥除湿機は、注目度の高い製品だ。近年は急なゲリラ豪雨なども増え、夏場に晴れていても外干しをし外出するのは不安なときがある。一台持っていると安心感があるので、ぜひ試してほしい。
製品貸与:パナソニック、シャープ、三菱電機、アイリスオーヤマ