表舞台で活躍するあの人に、墓場まで持っていくほどじゃない失敗談を聞いてみよう。誰もがちょっとした失敗をしていると分かれば、心の中のモヤモヤも少しは晴れてくれるはず。
今回、失敗談を教えてくれたのは、ミュージシャンのにしなさん。ちょっとした冗談が混乱を招いてしまった「こんなはずじゃなかった」エピソードとは?
にしな
1998年生まれ。東京都出身。2021年、ワーナーミュージック・ジャパンよりデビュー。Spotifyが躍進を期待する次世代アーティスト「RADAR: Early Noise」にも選出された。やさしくも儚く、中毒性のある声。どこか懐かしく、微睡む様に心地よいメロディーライン。無邪気にはしゃぎながら、繊細に紡がれる言葉のセンス。穏やかでありながら、内に潜んだ狂気を感じさせる彼女の音楽は、聴く人々を徹底的に魅了する。2024年10月16日、ドラマ『つづ井さん』エンディング主題歌に起用されているニューシングル『ねこぜ』をリリース。
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金髪のウィッグに妙に惹かれたあの日
“失敗談”と聞いて思い浮かぶのは、2年前に起きた「金髪ウィッグ事件」。ほんの出来心で送ったLINEでスタッフさんを困惑させてしまった、今となっては笑える思い出話です。
私、髪を切ったり染めたりするときは、事務所のスタッフさんに「こういう髪型にする予定です」って共有するんです。急に印象が変わるとよくないからって。これまで勝手に髪型を変えたこともなかったし、事件が起きたその日も事前に髪色を共有して、OKをもらっていました。
髪は、お世話になっているヘアメイクさんの自宅で染めました。私の髪質を踏まえて、イメージどおりの髪色に仕上げてくれて。「じゃあもう帰ろうかな」と思ったときに、飾ってあったウィッグに目が留まったんです。それはヘアメイクさんが撮影用に作ったもので、なかには金髪のウィッグもありました。
私の髪は痛みやすいので全頭ブリーチはしたことがないけれど、それでも「金髪っていいな」と思うんです。自然に生えてくる髪色が好きというか。日本人で地毛が金髪の人はいないけど、西洋人にはいますし、プールの塩素で抜けたムラのある髪色とかも可愛いなって思います。ピンクとかブルーの髪色も可愛いけれど、なぜか金髪ほどは惹かれなくて……。
たぶん私、“着飾りすぎていないもの”が好きなんだと思います。服装も綺麗めよりラフな格好をすること多いし、歌うときも“よく見せよう”と背伸びしたりしないし……。頑張らない自分が好きだから、なるべく自然体でいられるものを選びたいんですよね。
photo by renzo masuda
だからかな、金髪のウィッグに妙に惹かれちゃって(笑)。ヘアメイクさんも「似合うんじゃない?」って言ってくれたので、そこからいろいろなウィッグを試着しました。ウィッグを変えるたびに、記念に写真を撮ってましたね。
バレるかなと思ってたのに、まさかの反応でびっくり
カットやカラーの仕上がりは、事務所のグループLINEで共有するのがいつもの流れ。でもその日は、「すみません……」という一言と、金髪のウィッグを被った写真を送りました(笑)。
ほんの出来心だったんです。事務所のスタッフさんにウィッグの写真を送ったら、面白がってくれるかなって。前髪も急に伸びているし「すぐにバレるだろう」と思ってました。
でも、写真を送ってからマネージャーさんの返事がパタンとこなくなって。別のスタッフさんからは「ちゃんと確認してから染めた?」と詰められる事態に……。
どうやら金髪が馴染みすぎて、全員が信じちゃったみたいなんです。普段、LINEでは業務連絡しかしないので、冗談が通じなかったというのもあると思うんですけど。
スタッフさんたちの反応を見て「やばい、本気で怒ってる」って察して、すぐにネタバラシして謝りましたね。でも実際は金髪にしていないので、「最終的には丸く収まるだろう」って、変に冷静ではありましたけど(笑)。
逆に、ヘアメイクさんは「やばいことをしちゃった」ってすごく焦っていて。それを見て、とても申し訳ない気持ちになりました……。「私がやったことなんで大丈夫ですよ」って、ずっとフォローしていましたね。
最近は、似合うか似合わないかは置いておいて、プードルみたいなチリチリパーマって可愛いなって思っていて。でももしそういうウィッグがあったとしても、着用写真は送らないでおきます(笑)。スタッフさんを困らせちゃうので。
Text&Edit:しばた れいな