まとめ買い需要で大型冷蔵庫が売れている。さらに食材を冷蔵・冷凍保存するだけではなく、最近注目されているのは食材の鮮度保持能力だ。たくさん購入した食材は、なるべく状態のよいまま保存したい。そんなニーズにメーカーも応えている。
また、大容量のメリットを活かしつつ、食材が整理しやすいタイプも改めて見直されている。最近では奥行きが狭くなり、背が低い人でも取り出しやすい冷蔵庫が増加。特に冷蔵室にある一番上段の棚は、奥側まで手が届かず、フードロスになることがある。少し容量が減っても、食材の消費期限を見ながら、きちんと整理できるので、ムダを防げるというわけだ。
今回は代表的な6社の冷蔵庫を比較。冷蔵室、野菜室、冷凍室の鮮度保持、使いやすさなどを比較して、総合的に優秀な一台を決めた。特徴をぜひ参考にしていただきたい。
テストした項目は「冷蔵室の鮮度保持(10点満点)」「野菜室の鮮度保持(10点満点)」「冷凍室の鮮度保持(10点)」「使いやすさ(10点)」「お手入れのしやすさ(5点)」「オリジナル機能(5点)」の6項目合計50点となる。
冷蔵室、野菜室、冷凍室の鮮度保持が優秀でNo.1に
東芝ライフスタイル「GR-W550FZS」の特徴
冷蔵温度帯·冷凍温度帯をそれぞれ専用の冷却器で冷やす特許技術「新鮮ツイン冷却システム」を活かし、庫内の食品温度の変動を抑え、冷凍食品の霜つきや乾燥を抑制、食感やおいしさをキープ。また、きれいな空気を庫内に循環させる「きれいループ」と、高まる省エネ意識に対応した「とってもエコ」を新搭載。清潔性や省エネ性をさらに向上させている。
また、従来から上段冷凍室に搭載されている「おいしさ持続 上質冷凍」を下段冷凍室にも搭載。「新鮮ツイン冷却システム」を活かした温度制御により、冷凍室の温度変化を抑え、一般的なシングル冷却と比べて霜つきを約22%抑える。さらに、冷凍室内の温度変動をコントロールすることで、より安定した温度帯での保存が可能となり、食品における品質低下の原因となる酸化や酵素のはたらきを抑制する。
暮らしに合わせて選べる節電モード「とってもエコ」を新搭載している。冷蔵庫の機能を最低限に絞り、食品に影響のない範囲で庫内温度を上げることで、約35%の節電が可能となった。日頃から節電をしたいときや、長期間の外出中に節電をしたいとき、アプリで簡単に切り替えられる。
Point ①「冷蔵室の鮮度保持」
ラップなしで1日経過したサラダ
ラップなしで1日経過したハム
チルドルームでラップなしで5日経過したアジ
サラダもハムもしっとりした状態をキープ。どちらもうるおっている。アジは目や身の部分に変色が少なく、鮮度を維持していた。少し表面は乾燥しているものの、問題なく食べられる。
Point ②「野菜室の鮮度保持」
ラップなしで1週間経過したパプリカと椎茸
ラップなしで1週間経過した小松菜
パプリカの断面は乾燥もなく、一週間も置いたものとは思えないほど鮮度を維持。椎茸も他社と比較すると全く異なり、水分を維持した状態。ただ、少しだけ黒っぽく変色していた。小松菜も状態はよいが、葉の部分がしっとりした状態に。
Point ③「冷凍室の鮮度保持」
ラップして1ヶ月間冷凍
冷蔵室で1日かけて解凍
解凍後のドリップ
霜は表面全体にうっすらとついている状態。解凍した肉は変色もなく、1ヶ月冷凍した肉とは思えないほど。ただ、ドリップは少しだけ出ていた。
Point ④「使いやすさ」
炊き立てのごはんなどを素早く冷却できるので、粗熱取りや調理の時短ができる。さらに、終了時には音声でお知らせ。アプリに接続すると、1~60分でお好みの時間に設定できるのも便利。2段になっているのでたっぷり入る。
Point ⑤「お手入れのしやすさ」
お手入れのしやすさは、さまざまな配慮があり、さっと掃除できる。引き出しは端までくぼんでいるのでふきやすい。野菜室は穴があり、そこからゴミを出せるので泥や野菜くずがあってもすぐに掃除できる(ふだんはシリコン素材のフタがあるので冷気が漏れることはない)
Point ⑥「オリジナル機能」
ワンタッチでドアポケットの高さを変えられる「フリードアポケット」を採用。背が高いものが多いとき、小瓶が多いときなど、状況に応じてサッと変えられるのは便利。また、独自のアプリも使いやすい。
冷蔵も野菜も鮮度保持の性能は優秀、
使いやすくバランスがよい冷蔵庫
冷蔵室、野菜室、冷凍室の鮮度保持は優秀で、平均するとトップの成績だった。特に野菜室の「使い切り野菜ボックス」は、中途半端に残ってしまった野菜もみずみずしく保存できる。いちいちラップをする必要がなく、入れたときとほぼ同じような状態を保っていたので驚いた。野菜をたくさん購入して、新鮮なまま使い切りたいという方に、特におすすめしたい冷蔵庫だ。また、今回はラップなしで食材を冷蔵室や野菜室そのまま入れたが、ニオイなども気にならなかった。除菌、脱臭システムを採用しているので、ニオイが気になる食材も安心して入れることができそうだ。
手がふさがっていても扉をあけられるタッチオープン、ワンタッチでドアポケットの高さを変えられるフリードアポケットなど、独自の機能も搭載されており、使いやすさも高評価だった。
IoLIFEアプリも使いやすい。AIが家庭に合わせて最適な運転プランで省エネ運転を実現できるようになる。個人的に気に入ったのは「ウィークリー音声リマインダー」だ。ゴミの日など、曜日ごとの予定をイベントリストから設定できる。1回目に冷蔵庫を開けると「本日は資源ゴミの日です」といったアナウンスを聞くことができるため、いちいちゴミの日のカレンダーを見ることが減った。これも、音声アナウンス&スピーカーを採用している東芝らしい機能で、思いのほか便利だった。
SPEC
定格内容積:550L
本体サイズ:幅685×奥行699×高さ1833mm
質量(約):約123kg
年間消費電力量:263 kWh/年
実勢価格:約32万円