ランニングほど続かないものはない。奮起して始めてもすぐに理由をつけてサボってしまう。なんとなく「大変」というイメージばかりが膨らんでいく。けれど、走り始めれば案外気持ちが良いものだということも実は知っている。ランニングは特別な道具や場所を必要としない、誰にでも開かれたスポーツだ。動きやすいウェアとお気に入りのランニングシューズが一足あれば、この瞬間にでもまた走り始められる。
7月19日にPUMAから2種類の新作ランニングシューズ「DEVIATE NITRO 3(ディヴィエイト ニトロ 3)」、「DEVIATE NITRO ELITE 3(ディヴィエイト ニトロ エリート 3)」が発売されたということで、モデルでトレーナーのRalph(ラルフ)さんに試してもらった。「ランニングが続かない」という読者に向けて、シューズの魅力とともに、ランニングの楽しみ方や、初心者におすすめの始め方・続け方も教えてもらった。
Ralph
1999年東京生まれ。日本とガーナの両親のもとに生まれる。
高校までは野球、大学はアメリカンフットボールで活躍し、現在はモデル活動の傍ら、パーソナルトレーナーとしても活動。
ランニングや食生活などオーガニックなライフスタイルにも注目が集まっている。
Instagram:@ralph99___
WEB:https://www.stanford-group.com/model/ralph/
PUMA史上“最軽量”の厚底シューズ
写真左「DEVIATE NITRO 3」、写真右「DEVIATE NITRO ELITE 3」
ランニングシューズはスニーカーなどと比べて、長く・速く走るために開発されている。そのため軽量性、クッション性、グリップ性などに特化しておりランニング時の足への負担を減らしてくれる。
さらに近年は厚底のシューズがトレンドとなっている。高いクッション性によって、大きな推進力を得ながら衝撃も吸収してくれるので、足への負担がとても少ない。7月19日にPUMAからリリースされた「DEVIATE NITRO ELITE 3」と「DEVIATE NITRO 3」も、厚底タイプのランニングシューズだ。
「DEVIATE NITRO ELITE 3」2万9700円
「DEVIATE NITRO ELITE 3」(以下、ELITE 3)は重量わずか194gとプーマ史上最軽量となり、レースでの好記録を目指すランナーに向けた本格的なモデルだ。「NITROFOAM™ ELITE」と呼ばれる独自技術を搭載し、「軽量かつ高反発」を実現している。
「DEVIATE NITRO 3」1万9800円
「DEVIATE NITRO 3」は一般ランナーに向けたモデルだ。高いクッション性や反発性によってレース用シューズに匹敵する性能をもちながら、安定感もあるのでビギナーでも日常的に使用できる。
どちらも分厚いミッドソールに、PUMAのトレードマークとも言えるフォームストリップがほどこされた黄色〜オレンジ色のグラデーションのボディが特徴。「ELITE 3」はアウトソールとヒール付近にピンクの差し色が入っている。
そこで、Ralphさんに一般向けモデルにあたる「DEVIATE NITRO 3」で試走してもらい、感想を聞いた。
Ralphが「DEVIATE NITRO 3」をレビュー
――第一印象はどうですか?
履き心地の前に、まずカラーリングが自分好みでグッときましたね。僕は黄色、オレンジ系の蛍光色が大好きなんです。今もプライベートでオレンジ色のトレッキングシューズを使っていますし、ヘッドホンもオレンジ色のものを使っています。
――偶然にも色がRalphさんにドンピシャだったんですね。履いてみての感想はどうですか?
普段から反発力のある厚底のシューズを使っているけど、これはかなり軽いですね。ふわふわしているのに、それでいて安定感がすごいです。踏み出すときに足がブレない。反発力のある靴は慣れるまではブレやすくて、一歩一歩が少しずつズレたりしちゃうんです。でも、「DEVIATE NITRO 3」は推進力が出るのにそれほど意識しなくてもブレないのですごいですね。
――Ralphさんは、これまでPUMAのシューズは使ってきましたか?
僕はピンクとか黄色とか、ちょっと奇抜な感じの色のモデルが好きなんです。なので、モデル名は忘れてしまったのですが、中学生の頃から「NITRO 2」に近い蛍光系の緑色のPUMAのシューズをずっと愛用していましたね。高校生まではずっと野球をやっていたので、トレーニングやランニングのときに履いていました。
――ということは、まずはデザインで選んで、足に合えば購入という感じ?
そうですね。デザインを重視することが多いかもしれません。
――今回のモデルは比較的ランニングシューズらしい見た目ですが、日常のコーディネートにいれるなら、どのようなコーディネートを組みたいですか?
靴に軽くかぶさるような丈のデニムとかパンツに、ちょっと足だけワンポイントで明るい色が入っているようなスタイルですかね。もしくは最近流行っているような、短パンに靴下を長めに履いてとか。上下はシンプルに決めて靴だけちょっと派手な色を入れるっていうのは、すごく自分の好きなファッションなんです。
今履いている「DEVIATE NITRO 3」は、内側の「NITRO」のロゴとかもかわいいですよね。「ELITE 3」はデザイン的にもピンクが入っていて、ワンポイント的にも使いやすそう。どちらもタウンユースもできそうですよね。
「人と人を繋ぐ」のがランニングの魅力
――Ralphさんにとって、ランニングの魅力ってどんなものだと思いますか?
やっぱり「仲間と一緒にできる」っていうのは魅力ですよね。仲の良い2、3人と走るのもいいし、ランニングのコミュニティとかに参加して10人以上とかで走るのも楽しいですよ。それに記録が伸びたらやっぱりうれしいですよね。だから仲間たちと切磋琢磨しながらでもいいし、世間話をしながら走るのも良い。「人と人を繋ぐ」っていうところがランニングの魅力だと思います。
――ランニングというと、1人で辛いけど頑張る……みたいなイメージがありますが、誰かと一緒に走ることを念頭に置いているんですね。
もちろん1人でグッと集中して走るモードになるときもありますよ。でもやっぱり2人とか3人とかで、たとえば1時間、世間話しながら軽く走るとすごく気持ち良いんです。ランのあとは走った分のカロリー補給でランチを食べる。達成感もあるし、仲間との絆も深まります。
――たしかにそうやって聞くとものすごく楽しそう……。とはいえやっぱり始めるのが億劫というか、心理的なハードルを感じてしまいます。「Ralphさん流の始め方」ってありますか?
最初はやっぱり仲間と始めるのが絶対に良いと思います。たとえば仲間と飲みに行くとか、そういう感覚でランニングをしちゃう。誰かに相談事があるとか、ちょっとおしゃべりしたいって思ったときに、飲みに行くんじゃなくて、走りながら相談してみるのが良いと思います。だから、走るペースもずっと喋り続けられるぐらいで大丈夫です。そうやって走っているうちにもっと動けるようになりたいとか、記録を縮めたいっていうふうに自然とモチベーションが見えてきて、気づいたら夢中になっているはずです。
それに、朝一番でランニングしたら単純にめっちゃ気持ちいいですし、今日は動いたなって自己肯定感も上がりますしね。本当にいいことしかないと思いますよ。
――なるほど。じゃあもう一つのハードルである「続けるコツ」についても教えてください。
うーん、やっぱり続けるコツも友だちや仲間と一緒に走ることです。もし身近に一緒に走ってくれそうな人がいなければ最近はランニングのコミュニティとかもたくさんあるので、参加してみるのが良いと思います。「誰かと一緒に」、というのが良いと思います。
目標はウェイトとマラソンの二刀流
――Ralphさんは普段どのぐらいランニングをされているんですか?
週に最低3回から4回は走っています。朝4時頃起きて、朝ご飯を食べて5時から走り始めることが多いです。冬は朝が寒くて気分が乗らないときもあるけど、思い切って行っちゃえば気持ちいいですよ。
――かなりストイックですね……。いつ頃から続けているんですか?
高校までは野球、大学はアメリカンフットボールをやっていたこともあって、このタイミングから走り始めたっていうのはないんですが、今年の11月に開催される「つくばマラソン」で3時間以内に走る、という目標を去年の9月頃に立てて、それからは意識して走っています。
大会に向けてタイムを縮めるためのランは結構ストイックに走るんですが、最近瞑想的な効果もあるなって気づいたんですよね。音楽も聴かずにひたすら自分の走りだけを意識することで、集中力がついてきた感覚があります。実感としては、前は本を読もうとしても気が散って全然読めなかったんですが、意識的にランニングを始めてから普通に読めるようになって自分でもびっくりしました。
――心身のトレーニングになっているんですね。Ralphさんはウェイトトレーニングをやられていますが、ランニングやマラソンと筋トレって相反するもののようなイメージもあります。
マラソンランナーの方々はやっぱり長時間走ることに特化されているので、全体的に筋肉も細くなっていきますよね。長時間自分の体を支え続けるっていうことに向かって身体を作られているんだと思います。一方で自分はウェイトトレーニングもガッツリやっていて体格もかなり大きい。でもこの体を維持したままフルマラソンを目標タイムで走り抜きたいんですよ。
“二刀流”じゃないですけど、重さも扱える体でマラソンも速く走る人って多分まだまだ少ないと思うんです。海外だと何百キロっていう重さを扱いながらもフルマラソンを走っちゃうような人もいたりするんですが、日本ではまだまだ少ない。だからその分野で第一人者を目指したいなと思います。
――ハードな道ですね。どうしてそういった意識に?
大学生のときアメフトをやっていたことが影響しているかもしれません。アメフトは当たり負けしない体を作りながら動ける必要があって、そういうトレーニングとかをいっぱいやってきたので、速く走りながら重さを扱いたいっていう思考ができたんだと思います。
部活を引退してからモデルの仕事を始めたんですが、最初はいわゆるモデルらしい、細身の体を作ることも考えたんですけど、やっぱりそれは「自分じゃない」って感覚があって。だから自分なりにアメフトで鍛えた身体を維持しながらモデルを続けていたんですが、その途中でやっぱりもっと動きたいなって駆り立てられて今に至ります(笑)。
――筋トレもするしランニングもする。Ralphさんは根っからの運動好きですね。
最近ジムに通う人も増えて筋トレブームみたいになっていますが、やっぱりみんなランニングは絶対にしないみたいな雰囲気がありますよね。そこで「ランニングも良いよ」ってことをみんなにもっと伝えていきたいです。
それに「ウエイトトレーニングもやるけど走る」って人に向けたコミュニティ的なことも今後やりたいなと考えています。まだまだ人口も少ないので、みんなが参加しやすい場作りをして、若者たちを家から引っ張り出したいと思います(笑)。