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オフィスを構えた日も、二日酔いの日も

ゆとりくんが学生時代から食べ続ける、原点に返るための家系ラーメン

author: ゆとりくん (片石貴展)date: 2024/06/23

このうえなくハッピーな日を彩ったり、辛くかなしいときの支えになったり。人生の大切な場面を共にした味は、いつまでも記憶に残るもの。今回お話を伺ったのは、「PAMM」「9090」といった若年層に人気のファッションブランドを複数展開し、30歳という若さで上場を果たすなど、起業家として充実した日々を送る、株式会社yutori代表取締役社長の片石貴展さん。

一食一食に妥協したくないという片石さんが、学生時代から現在に至るまで足繁く通い続けているのが、家系ラーメンの武蔵家 明大前店。片石さんにとってのソウルフードである武蔵家のラーメンを食べながら、起業家としてのこれまでの道のりや、yutoriとして思い描く未来について語ってもらった。

片石貴展

株式会社yutori代表取締役社長。1993年生まれ。あだ名はゆとりくん。2018年にInstagramのアカウント「古着女子」を立ち上げ、初期投資0円の“インスタ起業”としてyutoriを創業。「9090」や「genzai」「PAMM」など複数のファッションブランドを運営。2020年、ZOZOグループへハーフジョイン。2023年、東証グロース市場に上場。

Instagram:@yutorikun_
X:@katap_yutori

美味しいものしか食べたくない。徹底した食へのこだわり

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食べるって本能的で「エロいこと」だと思います。「うまい」という感覚って官能的じゃないですか。ダイレクトで、くどくない。値段の高い低いに関係なく、毎食絶対に自分がうまいと思うものを食べたいし、そうじゃなかったらいっそ食べたくないです。

好きなのは、肉とかハンバーグとかラーメンとか、体に悪い茶色い食べもの。シーザーサラダみたいに、チャラい野菜は食べますけどね。お菓子みたいで邪道じゃないですか。漬物みたいに硬派な野菜を食べられる人は、大人でかっこいいなと思います。でもジャンクフードとかお菓子はあんまり食べないし、ジュースも飲まない。単に好きじゃないし、ダイエットもしているので。

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面倒だしつくれないから、ご飯は基本外食です。最近はちょっと成長して、スムージーをつくったり、ハーブティーを入れたりすることはできるようになりました。酒も飲むし、煙草も吸うし、人より活動時間が長い分体調を崩しやすいから、健康を気にして栄養があるものも食べるようになった感じです。 

明大時代の思い出が詰まったソウルフード「武蔵家」

武蔵家には1ヶ月前、二日酔いのときに来たばっかりです。いつも下北沢のオフィスからわざわざタクシーで来てます。普段は1人で、人と来ることはほぼないです。頼むのは、毎回特製ラーメン。昔は大盛りを食べていたけど、最近は気持ち悪くなっちゃうから半玉で。

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武蔵家はたしか大学2年の頃にできたんです。明治大学のすぐそばだし、この辺はあんまり飯屋がないから、明大生の頃はよく通ってました。だから思い出がめっちゃあります。

僕は新しいところに行くことにあんまり興味がなくて、過去が一番好きだから思い出のある場所に繰り返し行きたいんです。武蔵家にも「懐かしの味」って感じがしないくらい来てます。常に地に足を着けていたいから、18歳から24歳ぐらいのときに行っていた場所や、聴いていた曲を求めていて、その頃の感覚に自分を戻すという意図も無意識のうちにあるような気がします。

今は1人離れたけど、僕らの会社ってもともと明大生3人で始めたんです。それもあって、コワーキングスペースから出て最初のオフィスは、武蔵屋から徒歩3分ぐらいのところでした。滅多にみんなで飯に行かなかったけど、そのオフィスに引っ越しした日に、3人で武蔵屋に行きましたね。2018年6月29日、6年くらい前です。

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成功を確信していたものの眠れない夜もあった、起業当初の思い

起業したのは社会人2年目のとき。将来会社がでかくなることは、最初から分かってました。ファッションが好きで、経営的な能力もある人ってなかなかいないけど、僕は両方を持っているから、資本主義の中では当たり前にやれるんじゃないかなって。

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親も起業家だし、もともと自分で会社をやるつもりでした。起業することに恐怖は一切なかったです。会社にいてパフォーマンスを発揮するよりも、社会の中で自分の名前が出る仕事を実績として重ねた方が、失敗したとしてももっといい条件で転職できるし、最悪実家に帰ればいいから、独立するリスクが見当たらなかったというか。恐怖よりも、「なにが待っているんだろう」という期待感がありました。

そもそも僕は、好きなことを好きな人と一緒にしたいという気持ちが強くて。それが人生で一番幸せなことだと思うんです。人と何かをやるのが楽しいし、人の才能の片鱗に触れた瞬間に、幸福を感じる。でも儲けないと続けられないから、そのために常に戦略的でいます。

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ファッションをビジネスに選んだのにも理由があります。僕は今までの人生で、自分が本当に好きなものを誰ともシェアできたことがなくて。だからそれをビジネスにするのではなく、自分が理解しているマーケットの中で勝機があることをしたいと思いました。

とはいえ赤字の時期もあったし、ZOZOにハーフジョインするぐらいまでは、不安で眠れないこともありましたね。アパレルの経験者が入ってきたのは3年目からで、それまでは全員が未経験者。起業当初、古着を売っていたときは、朝5時に起きてフリーマーケットで仕入れをして、車もないからビニール袋に古着を詰めて持って帰ってくるような、かなり手探りな状態でした。自分たちなりに正解っぽいものをやり続けて、だんだんそれがブラッシュアップされていった感覚です。

ありのままの自分を受け入れ「ゆとりくん」になるまで

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会社をつくってから2年半でZOZOにハーフジョインして、さらに去年上場したことによって、資本主義の中でポジティブな評価を受けた感じがして。そこから自分のことをもっと好きになった感じがします。それこそ学生の頃は尖っていて、不安だから強いコミュニケーションをすることによって自分を確立しようとしていました。でも、それはそれで居心地が悪くて。

大学4年のとき、初めて「カタピー」っていうあだ名が付いたんです。そのときに、「片石」って呼ぶ人より「カタピー」って呼ぶ人の方が、僕の欠点をチャーミングに受け取っているなと気づきました。「カタピー」って呼ばれてるときの方が、ありのままの自分を好きになってもらえる感じがしたし、ありのままでいればいるほど人に好かれる経験をして、弱みを見せるのも居心地いいなと思ったんですよね。

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でも新卒でベンチャー企業に入社したところ、アイデンティティが消失したんです。大学生まではアカペラアイドルのプロデュースとか自分の好きなことをして生きてきたからか、会社という枠の中で自己表現をしていることへのストレスがあって、すごく鬱っぽくなってました。

その後yutoriを起業したことで、好きなことをやれていることや、ありのままの自分でいれることに感謝が湧いて。自分を受け入れるうえで、これ以上なにかを獲得する必要がないし、弱いところを見せてはいけないという思いがなくなりましたね。社会に対して安心できるようになったというか。「ゆとりくん」と名乗っている今は、生きていてストレスがないです。

純度を保ちながら永続性を獲得したい。yutoriの目指す未来とは

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カウンターカルチャーでありたいし、誰もやったことがないことをしたいという気持ちは強いです。カウンターといっても、「何かを打倒したい」という対立的な価値観じゃなくて、自分たちが自分たちらしく、楽しく生きるために領土を広げる必要があるという意味合いです。

「自分らしく生きる」というとすごくポジティブな感じがしますけど、必ずしもそういう側面だけではなくて。オリジナリティーが高くて、個性的な人でいなければならないという幻想に自分がまだ囚われていて、そういう自分でいないと不安だという思いもあります。今はその不安を「でも、やっぱり自分たちらしくいられた方が楽しくない?」っていう、いいエネルギーに変えることで進めてはいるんですけど。

僕は限られた人しか理解できないものより、良質なポップスをやりたいんです。ルーツにあるものはおどろおどろしいけど、あくまでもそれがチャーミングで人に伝わりやすい形になっているものに美学を感じちゃう。今日着けてるネックレスの文字はSuchmosの歌詞で、それこそSuchmosとか神聖かまってちゃんみたいに、唯一無二な世代の転換点になるようなアーティストが昔から好きですね。自分は狙ってやっている部分が強いから、その対極にあるピュアなエネルギーは魅力的に思えます。

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だからこそ、ピュアでいながらも永続性を獲得することに興味があって。そのためには儲け続けるしかないと思ってます。今は、コンテンツに対する消費者の偏差値がめちゃくちゃ上がっているから、コマーシャル的なものよりもピュアなものが受け入れられていて。でも企業としてはピュアさを狙わないといけない部分もあるから、その矛盾をどうやって克服するかが妙ですね。これからはどのくらい純度を保ちながらビジネスとして成長し続けられるかという挑戦をしていきたいです。

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武蔵家 明大前店

武蔵家 明大前店
住所:東京都杉並区永福1丁目1−1
電話:03-3323-5119
営業時間:11:00~22:30
公式X:@musashiyammae


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yutori代表取締役社長
ゆとりくん (片石貴展)

株式会社yutori代表取締役社長。1993年生まれ。あだ名はゆとりくん。2018年にInstagramのアカウント「古着女子」を立ち上げ、初期投資0円の“インスタ起業”としてyutoriを創業。「9090」や「genzai」「PAMM」など複数のファッションブランドを運営。2020年、ZOZOグループへハーフジョイン。2023年、東証グロース市場に上場。
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