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特集

かっこいいあのヒトって何を考えてる?

Beyond magazine編集長が“Z世代のリアルな本音”を聞いてみた

author: 小林 雄大date: 2023/04/01

Beyond magazine編集長の小林がファシリテーターとなり、「タイパ」「デジタルネイティブ世代」「SNS」などの言葉とともに語られることの多いZ世代の仲間たちと座談会を開催。当事者たちから、趣味の話や時間の使い方、スマホとの付き合い方、Z世代と一括りにされることに対する思いなど、Z世代のインサイトを直球で聞き出した。

好きなことに一直線。真っ直ぐ努力する姿勢がカッコイイ

──本日はよろしくお願いします。まずは自己紹介をお願いします。

写真左から、ダナヲ、shizuku、野口悟空

──ダナヲ(@n_2_y)です。25歳、フリーターです。バイトしながら編み物で帽子を作ったり、YouTubeで活動してたりします。

──野口悟空(@___gokuuuu___)です。21歳です。フォトグラファーとして写真を撮っています。主に人物を中心にアーティスト写真、雑誌やファッションの撮影をしています。

──shizuku(@shizuku_jp)です。コスメブランドでディレクターをさせていただいており、ちょうど今週で1周年を迎えるところです。22歳です。

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──まずカジュアルなところから聞きたいなと思っているんですけど、ハマっていることやマイブーム、ライフワークを教えてもらえますか。

──読書、銭湯、旅行が大好きです。高校生の時はアメリカの高校に1年間留学していたんですけど、いろんな言語を勉強するのが好きなので、英語の次は中国語を勉強しようって思って、大学4年間は台湾に留学していました。

──僕はライフワークとかは特にないんですが、写真について考えることは欠かさないので、強いていうならそれがライフワークなのかも。どんなときでも、誰と会うときでも、街に出るときは必ずカメラを持って街に出て、その場で起こった出来事をすぐに写真に収められるように意識しながら生活しています。

──写真にハマったきっかけはなんだったんですか?

──おじいちゃんのフィルムカメラが自宅にあって、そこから。でもフィルムカメラに馴染みがなかったので、最初は新宿とかにある中古のカメラ屋さんのおじさんにいろんなこと聞きまくったり、写真家さんに会いに行って話を聞いたり。ほかにも本を読んで構図を覚えたり、この写真良いなっていうのを自分の中でインプットしたりして勉強しました。

──私は、バイトをしてるとき以外は基本的に編み物と動画の編集をしています。

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 写真提供:野口悟空

──皆さんの1日の過ごし方ってどんな感じなんですか?

──バイトがない日は大抵いつも2時3時くらいに寝て9時ぐらいに起きます。そこから夜中までご飯食べる時以外はずっと編み物か編集をしてる。先週も朝の10時位から夜中1時ぐらいまで編み物をしてました。編み物の日は編み物、編集の日は編集って感じで1日中同じことをやっています。編み物は手だけ動かしていればできるので、1日15時間とかやっているときもあります。ずっとテレビを見ながら手を動かしてて、気づいたら帽子が出来上がってたり(笑)。

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 写真提供:ダナヲ

──撮影がある日は外に出ることが多いんですけど、家にいる日は映画とかYouTubeとかを見て休憩をはさみながらフィルムカメラのネガスキャンをすることが多いですね。フィルムカメラって、仕上がるまでに、撮る、現像する、スキャンしてデータ化するという作業をしなければならないんです。機械でスキャンして、パソコンで色味調整をしてデータ化する作業をしないと納品できないので、けっこう手間がかかるんですよ。

──私は散歩をしています。コスメブランドのディレクターをしている関係で、SNSとか携帯を見続けることが多いから目を休めたいっていう理由もあるんですけど、スマホの中よりも外に目を向けている方がインプットできることがたくさんあるので、最近ではそれも意識しています。

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写真提供:shizuku

──Z世代はお金に堅実なんてメディアでは言われているけれど、みんなは何にお金を使っているのか、もしくは何にお金を使ってるときに喜びを感じるのか聞きたいです!

──旅です。1番お金をかけてるのはそこだと思います。

──僕はカメラ関連の機材にかけるお金が1番多くて、次に服とか旅行とか、遊びに行くとか。

──私は交際費が多いのかな。でも、編集作業時のコーヒー代がけっこう“ちりつも”かも。

──最近買った高いものってなんですか?

──カメラの機材です。

──去年の話になりますが、長期で旅行に行きました。10月に出発して今年の2月に帰国したんですけど、東南アジアをバックパックでまわって。モノではないですけどそれが1番高いものかな。

──友達の誕生日に、ちょっと良いマフラーを買いました。

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写真提供:shizuku。東南アジアを4ヵ月間旅行したときの一枚

──ものを買う基準ってありますか? 最近はSHEINとかも人気がありますよね。

──私はSHEIN使わないです。応援できるかどうかわからないブランドのものに、ときめくことはできないかな。

──支持できないブランドについて、どういう軸を自分の中に置いて良し悪しを判断しているんですか?

──労働環境とか、それができあがるまでの過程の中で誰かの命とか生活とか、人だけじゃなくて動物もなんですけど、ちょっと変かもって思ったら買わないです。

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──カッコイイ、オシャレ、かわいい、イケてる、そんな感情を抱く同世代っていますか。

──自分の好きなものに素直だったり、自分のやっていることに誇りを持っていたり、楽しんでいたり、私の友達はみんなイケてます! 他人の目を気にせず、本当に自分が正しいと思った道を進んでいる人はカッコイイと思います。

──カッコイイ人の条件って、その人と会って話をしたときにわかることだと思っていて。見た目とか第一印象よりも、素直な人の方が「この人カッコイイな」となることが多いです。素直に好きなことやってたり、自分を貫いている人に憧れます。

──夢を追いかけている人はカッコイイと思います。パッと見の話とかだと、街歩いていたりしてつい目がいっちゃう人とか、そういう“オーラがある人”とかはイケてるなと思います。

常にアンテナを張り続ける。日々インプットを欠かさない

──皆さんYouTubeをよく見ると思うんですけど、好きなYouTuberはいますか?

──私自身もYouTube(2nds-セカンズ-)をやってるんですけど、参考にしているのは平成フラミンゴとかコムドットですね。

──僕は、アウトドアというか釣りがすごい好きなので、釣りよかとかきまぐれクックとかをよく見てます。

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──私はYouTubeを勉強的なものとして考えているので、ビジネス系を見ます。でも、最近はショート動画が多いかな。どのYouTuberが好きというのはなくて、YouTubeを開いたら流れてくるショート動画をよく見ています。

──普通尺の動画を見なくなった理由ってあるんですか?

──純粋に長く感じてしまうからですね……。使う時間の配分を考えたら、“ながら”とかになっちゃうんで、それなら短い方が集中して見られる。

──それはタイパを意識しているということ?

──実は私、タイパって言葉を最近まで知らなかったんですよ。でも普通尺の動画はあまり見ないし、お笑いとか何秒の違いで面白さが変わるものはそのまま見たりしますけど、バラエティーとか倍速でも面白さが変わらないものは倍速で見ちゃうので、考えてみればこれがタイパなのかも。

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──僕もタイパってわからなかったんで、調べました。そしたら僕の好きなことってめちゃくちゃタイパ悪い(笑)。でも僕はそこに魅力を感じてるんです。僕ら世代の人たちって、趣味でフィルムカメラを使ってる子とかも多いし、けっこうタイパが悪いことをやっているなと思います。

例えばレコードとかカセットも流行ってるし、家でコーヒーを豆から挽いて自分で淹れて飲むとか、それこそ編み物もそう。ミシンを使えばすぐだけど、効率が悪いことに魅力を感じてる人が多いのかなって。

──人間的な感性をタイパが悪い行動で補完している?

──身近にないもの、触れたことのないものとか魅力を感じるものに対してタイパが悪いものを選んでいるんじゃないですかね。デジタルじゃなくてアナログとか。僕ら世代は、物心つくころにはスマホもデジカメも普通にあった。

もちろん僕が写真を始めるときには高性能なデジカメが普通にあったけど、今あるものより昔のものに魅力を感じる感覚があるのかも。Wi-Fiとかも、これから「早いWi-Fiより遅いWi-Fiのほうが魅力的」みたいな感じになってくる可能性もあったりして! このラグが良いんだよね〜みたいな(笑)。

一同

──それ、面白い!(笑)

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写真提供:野口悟空。(右上)Mamiya RZ67 pro ll 、(右下)CONTAX T2 、(左)CONTAX G2

──アナログなところでいうと、読書もアリですかね。最近どんな本を読みました?

──最近面白かったのは夢野久作の『ドグラ・マグラ』。あと繰り返し読んでいるのは、僕が初めて買った奥山由之さんの『BACON ICE CREAM(ベーコン・アイスクリーム)』という写真集。その本との出会いが、ここまで写真にハマるきっかけにもなったので。

──どんなところが心に刺さったのでしょう?

──どうやって撮ったのかとか、とにかく考えさせられる一冊で。一枚の中にすごい想いが込められてる写真集なので、それを自分の中で解釈しながら読むことが多いですね。

SNSは映えより内容が大事。生活の一部だけど、離れたくなるときもある

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──Z世代はデジタルネイティブ世代って言われる世代だけど、SNSに対してどんな距離感で接していますか? 利用しているSNSも教えてください。

──Instagram、Twitter、BeReal、それと中華系のやつでウェイボーとか。どれも個人のアカウントは友だちに連絡したり、自分が楽しいからという理由だけで動画作ったり。そんな感じで活用してます。

──私はInstagramとTwitter、あとは自分たちのYouTube動画の切り抜きをアップするためにTikTokもやってます。Instagramは自分を見つけてもらう場所みたいなスタンスで活用したり、服を参考にしたり。逆にTwitterはもっと人間味のあることっていうか、くだらないことも言う感じで使い分けてます。

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──SNS疲れを感じることはありますか?

──ありますよ。特にインスタ。「なんでこんなに自分の私生活を全然知らない人に見られないといけないんだろう?」みたいな感情が定期的にきます。仕事の方のアカウントは仕事として割り切っているので良いんですけど、自分の直接の知り合いがいる個人のアカウントは疲れることもありますね。

──たとえば映える料理を撮るために遊びに行くとか?

──そういう使い方が嫌なんですよね。単純に目の前の景色に心を動かしたいんです。でも投稿することによって「この人、映えるからここに行ったのかな」って思われるんじゃないかとか、誰かとのツーショットを載せてもその人がらみの人脈とかが関わってるんじゃないかと思われるかもしれないと考えてしまうのが嫌なんです。プライベートな時間を載せることで、擦り減っていっている気がします。なので、最近はあえて投稿ぜずに2人だけの秘密にすることもあります。

──自分が見たくないものを見てしまったり、でも見たくなっちゃうみたいな感じがすごい疲れます。でもSNSを通して仕事の依頼とかをいただくこともありますし、なくてはならないものでもあるんです。

──SNSに対してそんなにネガティブな感情はないけど、誰かの投稿を見ているときにふと、なにに時間を使ってるんだろうと思うことはあります。私は世に見つかりたい人間なので、自分の投稿に関してはむしろ「見て見て!」って感じで。

昔から漠然と有名になりたいという思いがぼやっとあって。で、最初はCMとかの映像制作系の仕事に就いていたんですけど、よく考えてみるとそれも違うし。今はSNSも活用しつついろいろ探し中な感じです。

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──“自分らしく生きる”とか“自分らしさ”みたいな風潮についてはどう思いますか? 自分らしく生きることについてどう感じているのか気になります。

──私にとっての自分らしいスタンスって、パッと思いついたことをすぐに行動に移せる状態なんです。でもメディアとかで「Z世代はこういう傾向があって」と言われると、なんだか消費されている気がします。

──僕は自分らしさっていう言葉に疲れたりはしません。まわりの声にあまりとらわれずに、自分が本当にやりたいことで自分らしさを表現したいです。

──自分らしいというか、私にしかできないというか、そういうのはすごく大事にしています。

自分は自分。「Z世代」と呼ばれることに特別な感情はない

──Z世代と呼ばれることについてどう感じるかも聞きたくて。そもそもZ世代って呼ばれていることに関してどう感じています?

──全体で分けるなら、私はそこにいるんだろうなってだけです。そこに関してネガティブな感情もポジティブな感情もないです。

──「Z世代は」と言われることもありますが、たとえばそれはゆとり世代の人たちもそうだったと思うんです。僕は上の年代の方と仕事をすることも多いので、普段から世代が違う人の考えも取り入れたりするし、あまり気にしてはいないです。

──3年後、5年後、どうなっていたいですか?

──有名になってたら、めっちゃかっこいいかなって思います。

──ちゃんと自分に素直でこのままいれたらいいなって思いますね。

──好きなことをやめないことですね。好きなことを簡単に辞めてしまったら自分に嘘をついている気がする。だからとりあえずやめないことを目標に、撮り続けることを目標にしていきたいなと思っています。

Text:小林ユリ
Photo:村山世織

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Beyond magazine編集長
小林 雄大

ファッション業界や音楽業界、ソニー・ミュージックエンタテインメントのWebメディア「d365」副編集長を経て、独立。現在はフリーランスの編集者として、企画・編集・執筆を中心に活動。新規メディアの立ち上げや企業内の新プロジェクトなど、情報発信に関わる土台構築から実行まで広く携わる。
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