テレワーク推進やライフスタイルの変遷もあってか、ビジネスバッグ需要というものが一気に落ち込んだ感がある。“スーツ+リュック”のスタイルは今や当たり前だし、“着るバッグ”と評されるほど収納力の高いウェアも増えている。だが、あえて言わせていただきたい。「カバンはファッションのアイコンとして必須である」と。
特殊部隊を思わせるオールブラックのバックパック
私はヴィンテージのアウトドアやワーク、ミリタリーウェアが好きなこともあって、日々のスタイリングには親和性の高いエル・エル・ビーンのトートバッグを使っている。50年以上前のヴィンテージものだが、まったくクタらずにバリバリ現役である。
最近のバッグ市場は軽量な上に強靭な素材のモデルが登場したり、使い勝手のいいデザインも増えた。しかし「ヘビーデューティー」とか「Made in USA」なんて言葉に殊更弱い40代のオジサン世代にとって、それらはどうも物足りないのである。
そんなトート狂いの私だが、ここ数年はバックパックを探し求めていた。仕事柄ロケがあったり人に会ったりと移動が多く、時には悪天候などのハードな環境に遭遇することもしばしば。とにかくタフでかっこいいバックパックが欲しかったのだ。
そんな折に偶然出会ったのがブリーフィングの「DELTA ALPHA PACK L」。ガシッとした硬質な手触りと、特殊部隊を連想させる重厚感のあるオールブラックのカラーリングがアンテナを刺激したというわけだ。
容量30Lで重量840gと、昨今のバックパックとしては幾分重たいが、それがむしろ心地いいのである。メインマテリアルはブリーフィングの中で一番タフなバリスティックナイロンを採用。防弾チョッキと同素材というのが萌えポイントである。
価格は税込で¥61,600。タフなモノを求める男のハートは弱いもので、購入に至るまでに随分悩んだのを覚えている。ほぼ毎日使うのでそんじゃそこらのヤワなバッグではすぐにダメにしてしまう。せっかく手に入れるのなら一生モノがいいので決断した。
オジサンたちにはたまらないMADE IN USAというマジック
自分が気に入ってるポイントとしては「MADE IN USA」だからというのもあるだろう。「デザインとか機能じゃなくてそこ?」と呆れられそうだが、ヴィンテージやアメカジを通ってきた世代としては、40オーバーになってもこのMADE IN USAという文言が持つ魅力には抗えないままである。半ば呪縛なのかもしれないが……。
まあぶっちゃけるとアメリカ製は頑丈だが作りが粗いモノが多い。仕上がりだけで見たら日本製の方が均一で繊細だろう。だが、アメリカ製ではないと出せない雰囲気というのが確かに存在するのだ。この粗野でドライな雰囲気はアジア製では到底真似できない。上手い下手の話しではないのだ。
もちろん「DELTA ALPHA PACK L」も例に漏れず、その空気感は内包している。アメリカ製+ミルスペックのバリスティックナイロンというまさにヘビーデューティーの申し子な一面と、都会的なオールブラックというギャップに自分というオジサンは一人悶絶しているのだ(変態で申し訳ない)。
年を取るとどうしても増える会食などの際に、ゴリゴリのミリタリー・アウトドアなバッグではいたたまれなくなるが、こいつの場合はオールブラックというカラーでうまい具合に中和してくれるのだ。
冒頭でも述べたが、最近は収納力の高いウェアが増えたこともあり、鞄を持たない人が増えている。しかしカバンを持つということはファッション的マナーの観点から紳士の嗜みなのである。
若い世代の方でいわゆる「一生モノ」のバッグを探している人や、自分のように毎日ハードに使い倒したいという人にはこの「DELTA ALPHA PACK L」は打ってつけだろう。