家にある家電のなかでも存在感のあるテレビ。「生活感が出るからテレビは置かない」という人もいるのではないだろうか。昭和の頃は「リビングの中心」がテレビの指定席だった——が、今求められているリビングになじむテレビの場所は「壁」ではないだろうか。もっと気軽に、もっとスマートに壁に取り付けられるテレビ「ウォールフィットテレビ(LW1シリーズ)」がパナソニックから登場した。都内で開かれたメディア向けセミナーをレポートする。
テレビは場所が固定されやすい家具の筆頭
パナソニックが11月18日に発売する「ウォールフィットテレビ」は、2TBハードディスク内蔵のTH-55LW1と、ハードディスクなしタイプのTH-55LW1Lの2機種。TH-55LW1Lは別売のUSBハードディスクに対応する。価格はオープンプライスで、市場想定価格は順に37万円前後、33万円前後。石膏ボードがあれば、壁に簡単に取り付けられる点がポイントだ。
ガイドシートに合わせてセット。マグネットとピンで固定
壁のスペースを有効に使えたらインテリアの雰囲気がワンランク上になる。それがテレビなら尚更だ。
テレビを壁掛けにすれば、インテリアに溶け込みやすく、テレビ台やスタンドを使わない分、床のスペースを有効に使える。しかし、従来テレビを壁掛けにしようと思うと、大きな固定用金具を取り付ける必要があり、設置工事を依頼しなくてはならなかった。これでは気軽に壁掛けするのは難しい。
パナソニックは、この問題を解決するため、ピンで石膏ボードに設置できる新機構を採用した。付属のガイドシートを使い、専用金具をセット。その後、ピンを使って設置する。
画面サイズ55V型。モニター部の重さは約12.5kg、外寸は幅122.7×奥行き2.7×高さ70.6cm。軽量のため、2人で持てば設置も簡単だ。壁から画面までは約3.5cm。コード類は電源コード1本。しかも、カラーが白なのですっきりとする。
安全面にも配慮し震度6程度の耐震試験でも、壁を含めて倒壊しない検証をしているという。同社のビジュアル・サウンドビジネスユニット長阿南康成氏は「耐震はパナソニックでは重要な価値だと思っている」と話しており、老舗メーカーならではの知見を感じられる。
「テレビが部屋のレイアウトを妨げていると知ってショックだった」と話す開発者
パナソニック エンターテインメント&コミュニケーションビジュアル・サウンドビジネスユニット国内マーケティング部長の金澤貞善氏は、都内で開かれた発表会の席上で、開発の思いを次のように話す。
「当社調査では、部屋のレイアウトはテレビ中心に決まるが、それに不満を感じる人が多いと知って驚きと同時にショックを受けた。お客様の暮らしやすいリビングを作るうえで、テレビはとてつもない障害になっていた。この状況を打ち破るテレビを開発したいと考え、それを形にしたのが昨年発売した『レイアウトフリーテレビ』。そしてこれに続く商品が今回の『ウォールフィットテレビ』」。
同社では、バッテリー搭載で小型で持ち運べる「プライベート・ビエラ」、キャスター付きスタンドで部屋の中を移動できる「レイアウトフリーテレビ(LF1)」そして、今回の新製品の「ウォールフィットテレビ(LW1シリーズ)」を"くらしスタイルシリーズ"としている。
そのキーとなる技術が「無線伝送」。これは壁際のアンテナ部分にセットし、無線でモニターに映像を送る技術。従来はアンテナと、モニターを有線で接続しなくてはならないため、テレビの設置場所が決まりがちだったが、無線伝送なら、チューナー部のみアンテナのそばに設置し、モニターは好きな場所に移動できるというわけだ。伝送範囲は、一般的な住宅用マンションや木造建築の住宅なら、隣の部屋や上の階でも遅延を感じずに楽しめるという。
新製品のウォールフィットテレビは、額縁のような薄さ、壁とのフィット感を実現するため、薄型にする工夫が詰まっている。
例えば、設置用の金具自体を薄くするほか、設置時にテレビのくぼみに金具が入り込む設計を採用。これにより、設置したときの金具の存在感をなくした。
画面は薄くて軽量な有機ELディスプレイ。透明度が高く色鮮やかな映像を映し出す。AIが学習し生成したシーン認識アルゴリズムを備えているため、昼間など明るい環境でもコントラスがはっきりとした映像を楽しめるほか、暗いシーンの表現も豊かだ。このほか、60Hzのゲームコンテンツを60Hzのままで表示してプレイ時の遅延量を抑える「等速駆動モード」を搭載し、映像だけでなくゲームをプレイするときにも頼もしい。
サウンド面では、スピーカーボックスを廃止。画面振動スピーカーシステムを採用することで音質を損なうことなく薄型化を実現した。
4K衛星放送対応チューナー2基を含む3チューナーを搭載で、新4K衛星放送の裏番組録画可能。ネット動画サービスにも対応している。ちなみに、別売の外付けスタンドも用意しているため、目的によって視聴スタイルを変えられる。
横からみても美しいデザインで寝室にもリビングにも溶け込む
セミナ-後半には、インテリアスタイリストの窪川勝哉さんとインテリアトータルプロデューサーMAKOさんが登場。ウォールフィットテレビを設置した部屋のインテリアをコーディネート。リビング、仕事部屋など、それぞれのシーンに合わせた。
窪川さんは「壁掛けテレビは正面からみるとキレイだけれど、横にまわりこむとそうでもないということが多かった。でもウォールフィットテレビはどこからみても美しい。ノイズになる要素が極端に少ない」とコメント。
MAKOさんは、「これまでのテレビは存在感が大きかったが、壁に掛けることでテレビが(インテリアのアクセントとして)フィットしてアートのような感じになったことに驚いた。特に配線が1本で、壁の白に溶け込むとこんなにすっきりするのだと体感した」とした。2人からは、「壁にテレビを掛けることで家具の配置やインテリが自由になる」と好評だった。
くらしスタイルシリーズが新しいテレビと生活のあり方を提案
「テレビをインテリアに馴染ませたい」という人にとって、従来のテレビは存在感があるものが多かった。しかし、今回パナソニックが新たに提案する「くらしスタイルシリーズ」は、コンパクトで持ち運びができたり、キャスターで簡単に移動ができたり、薄くて絵画感覚で壁に掛けられるなど、従来の「テレビとテレビ台」というスタイルとは違うテレビの使い方が可能なシリーズだ。
「大きなモニターは使いたいけれど、テレビの存在感を消したい……」と考えている人はぜひチェックしてみてほしい。
ウォールフィットテレビ TH-55LW1/
ハードディスク(2TB/内蔵)
モニター部
画面サイズ:55V型
外形寸法:122.7×70.6×3.1/2.7cm
質量:約12.5kg
チューナー部
外形寸法:21.5×8.0×22.5/21.5cm
質量:約1.8kg
ウォールフィットテレビ TH-55LW1L/
USBハードディスク(別売)
モニター部
画面サイズ:55V型
外形寸法:122.7×70.6×3.1/2.7cm
質量:約12.5kg
チューナー部
外形寸法:25.9×5.1×17.7/16.6cm
質量:約0.9kg
製品貸与:パナソニック