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こばかなの、無駄話から生まれる“感性”の法則

そろそろスマホに飽きてない? 便利さと引き換えに失った「リアルの楽しさ」

author: こばかなdate: 2023/04/08

外からの力が作用しなければ、物体は静止、または等速度運動を続けるという「慣性の法則」をなぞり、「こばかなの無駄話から生まれる“感性”の法則」と題した本連載。こばかなさんと無駄話をして、日々の生活で静止しがちな思考を動かし始めよう。第14回目は、スマホやSNSとの付き合い方のお話し。

携帯を手放しても、意外と1週間で慣れた過去

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私は自他ともに認めるTwitter大好き人間で、サービスが始まった頃からタイムラインに張り付いていた人間なんです。Twitter上で友達を作って「今日寒い」とか「お腹すいた」とか、本当になんでもないことをつぶやいてリアクションし合うのが楽しくて。暇な時間があれば、本当にいつもTwitterでたむろってました。

だから18歳くらいの頃、美大を目指して浪人することになったときも、普通に一日中携帯を触っていることもあり……。でも自分がTwitterしている間にライバルが勉強していると思うととても恐ろしかった。さすがにマズイなって思った当時の私は、浪人の1年間は携帯を解約して、持たないことにしたんです。

携帯を手放した直後は、「友達から連絡が来ているかも」と思って気にしてしまったり、手持ち無沙汰なときに携帯を見たいという欲求を抑えられませんでした。でも意外なことに、そんなことは1週間ですっかり考えなくなって、携帯のない生活に慣れました。

例えば非喫煙者はタバコがなくても生きていけますよね。それと同じで、携帯なんてなくても生きていけるという感覚に近いです。周りからは「連絡がつかない」と文句を言われましたけどね(笑)。社会人になった今、スマホを断つのはなかなか難しいかもしれません。でもその1年間で、携帯は別に必需品ではないなという感覚を得ました。その経験は大きかったかもしれません。

可処分時間をいかに溶かすか考えるエリートたち

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ただ、私が浪人生だった頃と比べたら、スマホでできることは限りなく増えました。気がついたらスマホを1、2時間触っていて、自分の時間がなくなっていた……なんてこともザラにあります。

特に最近のテクノロジーの進歩というか、サービス開発者側の工夫というのは恐ろしいほどすごいです。TikTokやYouTubeのショート動画のように、短時間でユーザーの脳内にドーパミンを放出させる仕組みなんて、その最たる例。いかにユーザーの可処分時間を溶かすかということを、世界のトップエリートたちが全精力を傾けて考えているわけで、サービス側の狙いから逃れるには大きな労力が要ります。

以前、スタートアップ界隈で『ハマるしかけ』という本は必読だと言われた時期がありました。どうすればユーザーにサービスが使われ続けるのかを、TwitterやFacebookの事例をもとに体系立てて解説した本です。今読むと目新しい知識ではないですが、ポイントは「ユーザーをサービスに没頭させる法則は決まっている」ということ。そういった構造を知っているだけでも、スマホに可処分時間を取られ過ぎずに済むかもしれません。

「タイムコンシャス」が時間の使い方を変える

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最近、「時間の使い方」に関する本を読んだのですが、そこで繰り返し語られていたのは、タイムコンシャス、つまり「時間に対して意識的になれ」ということで。今は何のための時間なのか明確にすることで、なんとなく過ごしている時間を減らす。これだけでも無駄な時間が減るという話で、たしかにそれには納得感があります。

この学びを仕事に生かすため、最近では毎日日報を書くようにしました。「今日の自分は10点中何点だった?」というテーマで、パフォーマンスに対する自己評価を書いています。フレームワークにはKPT(ケプト)を使用。Keep=良かった点、Problem=悪かった点を踏まえて、Try=改善方法を書き出すという方法です。週に1回チームメンバーで集まり、このフレームワークを使って改善サイクルを回すというのがオーソドックスなやり方なのですが、これを日報に応用しています。

日報の良いところは、自己評価をメンバーに共有することで、自分のパフォーマンスを主体的に捉えて変えていける点です。例えば先日、ロングミーティングがあったにも関わらず自分がバリューをあまり発揮できなかった場面がありました。これをProblemとして、その日の日報で具体的に自分なりの改善点をメンバーに共有するのです。

一例ですが、「このミーティングに自分は必要ないと思うから、次回から出席しない」みたいな解もあり得ます。自分の1日を日報というかたちでアウトプットすることで、貴重な時間というものを意識していける。この方法が唯一の正解だとは思っていませんが、「タイムコンシャス」というキーワードは大事だなと実感する毎日です。

「スマホに飽きた説」

スマホの話に戻りますが、結局のところ、スマホとかデジタルで得られる体験にだんだんと人は飽きてきているんじゃないか、という思いがあるんです。例えば私自身、本はアナログで読んでいます。スマホだとどこでもパッと読める便利さはありますが、通知が来るとそっちの方に意識を向けてしまうデメリットも大きいです。

あと最近では、服をECで買わないようにしています。例えば、誰かと買い物に行くとか、店員さんと直接話して新たな発見があるとか、そういう「リアルの楽しさ」が失われるのはもったいないなって思うようになりました。もちろんオンラインショップは便利ですが、「自分の楽しみだったものをデジタルで完結させると、失われる豊かさがある」ということに気づき始めて。「モノを買う」という行為単体で見ると一緒ですが、そこに至る過程の体験の質が全然違います。

だからここ1、2カ月で見ると、私のスマホ利用時間は減っている傾向にあります。とはいえ、スマホを見るときのような「何も考えない時間」は、脳科学的に見ても必要らしいんですね。ということで、サービス運営者側の意図に踊らされ過ぎない程度に、適度にスマホやSNSと向き合っていきたいなと思います。

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THE COACH 代表
こばかな

THE COACH 代表。デザイナーとして株式会社DeNAに入社後、株式会社THE GUILD、フリーランスを経て株式会社THE COACHを創業。キャリアとエグゼクティブを中心にコーチングの実績400人以上。国際コーチング連盟認定コーチ(ACC)。開講以来、講師として150名以上のトレーニングを担当。Twitterやnoteでコーチングについて発信しており、SNS合計フォロワー数6万人以上。
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