モーターやバッテリーの性能が向上したことで、コンパクトで吸引力が高いクリーナーが続々登場している。そこで家電プロレビュアーとして活躍する石井和美さんが、メインのクリーナーとしても使える、吸引力がパワフルな5社のコードレスクリーナーを比較テストした。フローリングやカーペットに擬似ゴミをまいて吸引したほか、取り回しやすさを重視する方も増えているので、使い勝手やメンテナンス性などもしっかりチェック。特徴はそれぞれ異なるので、家庭に合ったクリーナーを選んでほしい。
「フローリング」では重曹とペットのトイレ砂をまいて、隅まできちんととれているかどうかを評価
「カーペット」では、毛足の短いカーペットに重曹とペットのトイレ砂をまいて、少し表面を叩いて重曹をカーペットに馴染ませてから吸引を行った
「狭い場所の掃除しやすさ」では、ソファの下や椅子の脚まわりなどを実際に掃除してみて、ヘッドまわりが動かしやすいかどうか試した
「操作性」では、ボタンなどの使いやすさ、持ちやすさなどを評価。「充電のしやすさ」では、手軽に充電できるかどうかを確認
「ゴミの捨てやすさ」はダストボックスのゴミが捨てやすいかどうか、フィルターが詰まりやすいのかどうかをチェック
カーペットのゴミも得意!
本格サイクロンで吸引力も落ちず
brand 東芝ライフスタイル
Item トルネオVコードレス VC-CL3000X
price 6万5000円
- 標準質量:2.9kg
- 充電時間:3.5時間
- 本体寸法:高さ220×奥行き1125×幅257mm
- 集じん容量:0.2L
- 最長連続運転時間:標準40分、60分(ヘッド無)、おまかせ10分~30分 強:10分
- 付属品:ふとん用ブラシ、2WAYブラシ、すき間ノズル、お手入れブラシ、充電台
2本の回転ブラシを2つのモーターで駆動するクリーナー。前方は大口径のブラシで大きなゴミをかき集めて吸い込み、後方のブラシで絡んだ毛ゴミをかき取る。それぞれ逆方向に回転させ、ゴミを取る仕組みとなっており、ヘッドを前方へ押しただけでも往復したようにゴミがとれる。また、ゴミ検知センサーを搭載しており、「おまかせ」モードではゴミの有無に会わせて自動で吸引パワーを調節する。そのため、バッテリーも無駄に消費することがなかった。
手元のハンドルをひねるだけで左右の壁際も掃除でき、ソファの下などの狭い場所もヘッドは床面をキープし続けたまま掃除できる。ただ、ソファなどの下では、本体が大きいため、横に倒さなければ奥まで届かなかった。ふとんブラシなども付属しているが、ハンディクリーナーとしては少し重いので、手が疲れやすい。
今回試した中では、本格的なサイクロン機構を搭載したクリーナーのひとつ。ゴミもきちんと分離されており、長く使っていても他社のようにフィルターが目詰まりするわけでもなく、吸引力が落ちなかった。排気もニオイも気にならず、クリーナーとして優秀であるが、やはりパワフルな分、大きさと重さがネック。充電台から取ったり、戻したりする際も、引っ掛ける位置が高いのでセットしにくく、あまり手軽には感じられなかった印象。とはいえ、パワフルなので週末などにしっかり掃除したい方にぴったりのクリーナーだ。
ヘッド部分の特徴
「ごみ取れ性能」重視派向けのクリーナーで、床面に付着した菌を99%除去できる新開発「オシドリヘッド」を搭載。回転方向の違う2本のブラシでゴミをかき込むため、ヘッドを前方に押しただけでも往復した時と同様のゴミ取れが可能となっている。また、フィルターレスで2段分離構造の「バーティカルトルネードシステム」により、3つの気流が微細な塵や花粉まで99%分離し、強い吸引力が99%以上持続する。
フローリング
ブラシが床に接触している部分はキレイに取れているが、両端に重曹が固まって線状に残っているのは少々気になった。隅にも少し残っている。
カーペット
カーペットでは、奥底に入り込んだ重曹まで取れていた。押すだけでもしっかり取れているので驚いた。カーペット上でも吸い付かず、スッとかけられる。
狭い場所の掃除しやすさ
ソファの下も、奥まで届いた。ただ、本体が大きいため、横に倒す必要がある。ヘッドは2本ブラシがあるので少々大きめで、狭い場所は入りにくい。
操作性
おまかせ、標準、強などモードが豊富。手元には充電サインやゴミセンサーの表示まであって見やすい。ただ、手元が重いので、細かい掃除がしにくい。
充電のしやすさ
充電台に立てるだけで充電が可能。ただ、充電台の接続部が高くセットしにくいため、本体が重いこともあって何回かやり直すこともある。
ゴミの捨てやすさ
フチなどにゴミが残っているのが気になった。ただ、本格サイクロンで他社のようなフィルターがなく、目詰まりしないので、お手入れはラク。
10気筒の気流で繊細な粒子まで分離するため、吸引力が99%以上持続する。また、強力な気流でゴミを圧縮する「トルネードプレス」により、ごみを約1/4まで強力に圧縮。ゴミをまとめて捨てやすくなっている。他社によくある構造のようにフィルターで空気とゴミを濾(こ)すわけではなく、サイクロン機構でしっかり分離できるため、ゴミを吸った後も吸引力が落ちることなく、他社のようにフィルターがすぐに汚れるということはなかった。排気についても、ニオイが外に漏れにくく、イヤなニオイがすることはなかった。ただ、このような本格サイクロン機構のため、本体自体は大きく、また重くなっている。軽量化を期待したい。
製品貸与:東芝ライフスタイル