ランナーやハイカーの方ならご存知であろう。ここ4〜5年の間に、リカバリーをうたうサンダルが続々と登場し、一つのジャンルとして確立されたことを。しかし、普段使いとして履くのであれば、サンダルではなく、シューズタイプのほうが狙い目だ。
サンダルタイプは長時間歩行に向いていない
ランニングやさまざまなアクティビティの後に、疲れた足を解放し、休息を与えるために開発されたリカバリーサンダル。クッション性とフットベッドの快適性に優れているため、オフィス用や普段履きのサンダルとして活用している人も多い。
実際、私もそのうちのいくつかを試していて、着用した際の足の解放感は素晴らしいものがある。しかし、日常使いのアイテムとしては、ラインナップが充実してきたリカバリーシューズの方を強く推奨したい。
シューズタイプの場合、アッパーに足が包まれる以上、解放感はサンダルに劣る。しかし、足とシューズの一体感が高いため、とても歩きやすい。またサンダルタイプは(構造によるものの)、脱げないように足首を背屈(屈曲)させたまま、引きずるような足運びになる。大して歩かない場合はそれでも問題ないと思うが、長い時間履くとなったとき、脛の筋肉が縮んで、ふくらはぎの筋肉が伸びている状態が続くのは“癒し”には向いておらず、負担が偏ると個人的には思う。
その点、シューズタイプであれば足運びはとても滑らか。もちろんシーンによって使い分けるのが最適なのだが、オフィスワークや移動での着用も考慮に入れているのなら、シューズタイプが良いだろう。
「リカバリーシューズ」はこの5ブランドから選ぼう
ホカの「オラ リカバリー シュー 2」は、ランナーからの支持が厚いリカバリーシューズ。ミッドソールにはフルコンプレッションのEVAを採用。高いクッション性と安定性を実現している。ホカのランニングシューズ同様、メタロッカー構造が採用されており、着地から蹴り出しまでの体重移動がスムーズに行える。
実際、かなり歩きやすく、運動後だけのシューズにするのは、少々もったいない感じがする。履き口周辺に採用されたフォーム素材により、足首周りのフィット感も快適。普段使いや旅行用にも最適な一足となっている。
特にハイカーやトレイルランナーの間で人気が高いのがサロモンの「リラックス モック 5.0」。以前、『シューズ選びでケガを減らすことはできるのか』という記事で紹介したランニングシューズ「PREDICT(プレディクト)」シリーズから継承された可変ソールを採用しているため、とても歩きやすい。
アウトソールにはサロモンのトレイルランニングシューズにも用いられているコンタグリップを採用。濡れた路面でも滑りにくい。踵を倒して履ける2WAY仕様も便利で、キャンプなどでも活躍してくれるはずだ。
2013年に誕生した気鋭のシューズブランド、トポアスレティック。運動後のリカバリーと日常使いを想定して開発されたバイブは、フットベッドがかなりユニークだ。
オーソライト社製の3D WAVE SENSEというもので、表面に波型の凹凸があり、これが足裏の神経を適度に刺激。マッサージのような効果を発揮するという。アッパーに抗菌加工が施されているのも嬉しいポイント。トポアスレティックの他のシューズ同様、トウボックスが広く指先に余裕があるので、着用時のリラックス感が高い。長時間の立ち仕事の後、これに履き替えて帰るのも良さそうだ。
ウーフォス は、2011年にスタートしたリカバリーフットウェアブランド。ブランドの全モデルがAPMA(全米足病医学協会)の認定を取得している。AMPA認定とは、足の健康に有益かつ一定の効果が認められ、足病医(ポドロジスト)による審査を通過した製品にのみ与えられるもの。つまり、足病医のお墨付きということ。特に優れているのは独自素材のウーフォームの衝撃吸収力と、人間工学に基づいて設計されたフットベッドによるアーチサポート。着用することで足首への負荷が従来の靴よりも37%も軽減されるという。実際の履き心地もソフトで気持ちがいい。
アメリカで生まれたテリックは、2018年に日本人の足に一層フィットするように生まれ変わったリカバリーブランド。足の総合病院である下北沢病院が推奨しているブランドで、足底圧の分散による足裏や足全体の負担軽減、ふくらはぎの負担軽減が認められている。
今年5月に登場予定の新作「クロスライト」は、2WAYタイプのリラックススニーカー。足の形態学に基づく独自形状のインソール、自然な体重移動を促すロッカーボトムにより、少ないエネルギーで効率よく軽やかに歩くことができる。
日常生活やスポーツで酷使している足を、リカバリーシューズを活用してこまめに解放することで、足腰の負担が減り、疲労感やコリ・ハリを軽減できるはず。リカバリーシューズ未体験の方は、ぜひ一度足を通してみてほしい。