音声SNS、Clubhouseが一躍話題となりました。音声のみという限られたコミュニケーションツールにもかかわらず、世界中から多くの人が参加するほどに。そんなClubhouse一強に待ったをかけるのが老舗SNSのTwitterとFacebook。両社が手掛ける新しい音声コミュニケーションサービスとは。
2021年1月末、音声SNS「Clubhouse」が一大旋風を巻き起こしました。これまでのSNSは文字や画像、動画という視覚メインの交流でしたが、Clubhouseは完全に音声のみ。しかも、それぞれが都合のいい時間に行う非同期コミュニケーションではなく、同じ時間を共有しなければ参加することができない完全同期型です。まるで電話の時代に戻ったかのような不便さにもかかわらず、コロナ禍でリアルに近いコミュニケーションに飢えていた人達から熱烈に支持されました。
この「一周回った」SNSが人気となったことは、その他のプラットフォームにも大きな衝撃を与えました。
視覚も使うTwitterスペース
いち早く躍り出たのはTwitterです。Clubhouseの大熱狂が続く2月頭、Twitterは音声チャット機能「スペース(Space)」の国内ベータテストを開始。実は2020年12月からグローバルでベータテストを始めていたのですが、特に注目されていませんでした。Clubhouseの人気で気運が高まったわけですね。
スペースのメイン機能は、Clubhouseと同様に音声チャットです。ホストとスピーカー、リスナーが集まり、会話をします。セミナーやパネルディスカッションの開催、親しい友人との雑談、ファンとの交流にも利用できます。
でも、スペースには「耳だけではなく目も使う」という特徴があります。参加者全員が絵文字によって今の感情を表現できるのです。リアルで開催されるイベントでは、登壇者の話に笑ったり、拍手したりして反応しますよね。こうしたリアクションを5種類の絵文字スタンプで表現できるのです。スピーカーは自分の話が伝わっているのかわかりますし、リスナーも話を遮らずに気持ちを伝えることができます。
また、スペースの参加者にツイートを共有することができます。「このツイートをテーマに議論しようよ」「このツイートの画像を見て」といった使い方ができます。Twitterの一機能として提供されている強みでもありますね。
スペースは5月4日に正式リリースされたばかり。iOS、Android両対応です。短いテキストで効率よく情報交換するTwitterユーザーがどのように使うのか、しばらく注目ですね。
一方、Facebookは
こうした動きに、Facebookも黙ってはいません。音声で会話するサービス「ライブオーディオルーム」を数ヶ月中にリリースすると発表しました。ライブオーディオルームの特徴は、会話を録音してPodcastとして配布できること。Facebookは同時にPodcast機能をサポート予定で、いつでも音声コンテンツを楽しめる形式で提供される見込みです。それ以外の詳細はまだ明らかになっていませんが、実名で強固に繋がり合うFacebookでは音声でより深い交流が実現しそうです。
音声サービスと同時に進行するクリエイターズエコノミー
プラットフォームが音声サービスを提供する傍ら、共通したある動きがあります。それは、クリエイターズエコノミーです。
クリエイターズエコノミーとは、クリエイターが自ら収益を得られる仕組みのこと。コロナ禍の現在、思うように動けないクリエイターが稼げるサービスがグローバルで急成長しています。わかりやすい例を挙げると、YouTubeのスーパーチャット(投げ銭)機能ですね。その他、サブスクリプションによりクリエイターに課金する形式もあります。
Clubhouseはすでに投げ銭「Clubhouse Payments」をリリースしています。Twitterは月額課金制の「スーパーフォロー」、そしてFacebookは投げ銭機能「Facebookスター」のほかにサブスクリプションを提供予定です。
音声による交流は、文字や画像よりも人となりを感じるため、著名人やインフルエンサーによるファンビジネスに向いているとされています。収益化と非常に相性がいいのです。プラットフォームとしては、集客力があるクリエイターがファンを滞在させることにより、広告収入などの収益が見込めます。
2021年はSNSが変貌を遂げる年になりそう
誰もが平等に発信してきたSNSが、影響力のある人達が稼げるプラットフォームになる、今年はその転換期です。稼ぎたい人ばかりが活躍するようではつまらなくなると思うかもしれませんが、良質なコンテンツに出会えるチャンスが増えるとも言えます。
今後も音声サービスの成長、そしてクリエイターズエコノミーの動きから目が離せません。