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こばかなの、無駄話から生まれる“感性”の法則

環境を変える決断の難しさと、自分にフィットする箱

author: こばかなdate: 2022/04/03

さまざまな事象を分かりやすい図解で表現し、Twitterやnoteでの発信で支持を集めるこばかなさん。多摩美術大学を卒業後、デザイナーとして歩み始めたのち、コーチング会社THE COACHの代表を務める。SNSなどで発信する内容は理路整然としているこばかなさんだが、普段どんなことを考えているのか。そして普段の発信から削ぎ落とされている“無駄”な部分にこそ、感性を刺激する大事なモノが宿っているはず!

外からの力が作用しなければ、物体は静止、または等速度運動を続けるという「慣性の法則」をなぞり、「こばかなの無駄話から生まれる“感性”の法則」と題した連載。こばかなさんと無駄話をして、日々の生活で静止しがちな思考を動かし始めよう。第6回目は、環境を変える決断するための考え方のお話し。

環境を変えることを難しく考えなくていい

大手IT企業でデザイナーとして働き始め、その後フリーランスとして独立したあと、コーチングの会社を起業……。と、華々しいキャリアを送ってきたように見えるこばかなさんですが、「経験が積み上がらないと不安になったことがある」と語ります。

「わたし、環境を変える経験を多くしてきてるタイプなんです。新卒で大手メガベンチャーに入り、その次は少数精鋭のデザイン会社、その後はフリーランスを経て、現在はコーチングで起業しているという。いま振り返ると、働く場所や職種を変える決断を何度もしてきてるのです」

しかし、それは決して悪い判断ではなかったと捉えています。

「よく、ひとつの仕事を始めたら5年は続けるべきとか言われがちですが、若いうちに何社か経験することでオリジナルの経験を積み重ねられた部分もあります。デザイナーとコーチングなど、違う職種の経験を組み合わせることで生まれる価値もあります。わたしのそういうところを面白がってくれる人がいて、ここまでやってこれたところも大きいです」

こばかなさんはなぜ、職種や環境を変える決断をしてこれたのか。その理由は、プロのテニスプレイヤーを目指していた学生時代の経験にまで遡ります。

中学2年生で感じた「世界の壁」

幼少期からテニスの練習に打ち込んできたこばかなさん。しかし、中学生で早くも世界の壁を思い知りました。

「海外遠征で大会に行ったとき、同年代で有名だった日本のトップ選手が初戦で負けてしまったんです。それを目の当たりにして、海外のレベルの高さに衝撃を受けて……。スポーツはNo.1を目指す世界なので、努力しても結局報われないんじゃないかと思って、やる気をなくしてしまいました」

テニスを辞めたことで、しばらくは何にもエネルギーを注げない状態になってしまったそう。普通、人生の早い段階で「環境を変える」という選択肢を持つことはあまりありませんが、こばかなさんの場合は早くも中学2年生にして「自分の生き方を見つめ直す」経験をしたのです。

「確かに環境を変えるという決断って、何かを始めることよりも勇気が必要です。だからこそハードルが高いんですが……。わたしの場合は子どもの頃からそうした決断をしてきていて、それが大人になってからも意思決定の早さにつながっているのかもしれません」

毎日の「苦労」を乗り越える理由があるか

そうは言っても、「環境を変える」決断は人生にとって大きいもの。では、こばかなさんは環境を変える選択をするときにどんなポイントを見ているのでしょうか。

「キャリアなどに迷っている理由には色々なパターンがありますが、基本的には『この環境が好きだな』という気持ちと、『とはいえ別のことをしたい』という気持ちがごちゃごちゃになっているのではないでしょうか。だから悩みが尽きないわけですが、個人的には『その悩みには解決の見込みがあるの?』という点をシビアに考えるべきだと思います」

こばかなさんが1社目を退職したときも、まさにそんな感じだったそう。

「1社目のことはとても好きだったんです。でも、自分が目指したいデザイナー像を追いかけるには、今とは違う環境に身を移したほうがいいと考えました。その会社では実現できない何かがあるなら、どれだけ会社が好きだろうと周りにどう言われようと、転職することは正しい選択なはずです」

また、環境の替え時を判断する上ではこんな観点も。

「社会人にとって、環境を変えることの大きな選択は転職になると思います。あくまで客観的な意見ですが、毎日の辛さや苦労を乗り越える理由があるかどうかも良い観点かなと思います。この先この仕事を続けていったときに、ワクワクする未来が見られるのか。『特にないな』と思うなら辞めどきかも知れませんが、逆に『本当はこういうことを実現したいな』という思いがあるのなら、いまの会社で努力すべきことがあるかもしれません」

自分に合う「箱」を探せばいい

より良い生き方を目指すために転職をしたり環境を変えたりするのは悪いことではなく、そこまで重く考えなくていい、と言うこばかなさん。ただ、趣味に熱中するように仕事をする「趣味=仕事」状態を理想に置き過ぎるのも本末転倒だと言います。

「仮に世の中の人を『仕事はお金を稼ぐための活動だ』と考える人と、『仕事は楽しむ活動だ』と考える人に分けると、前者が圧倒的に多そうです。7:3くらいの割合でしょうか。だから、趣味=仕事にするために転職しよう!と意気込む人もいますが、憧れすぎるのは逆に良くないかもと思います。ひょんなことで今の仕事に熱中するときもあれば、ある瞬間で飽きたりもする。気持ちは揺れ動きますし、人生のフェーズによっても考えは変わります。趣味=仕事じゃないとダメなんだ、とまで突き詰めなくても大丈夫です」

最後に、環境を変えたいけど勇気が出ないと悩んでいる人へこばかなさんからメッセージを聞きました。

「デザイン会社で受託している時代にいろんな会社を見たからこそ気づいたことがあって、会社によって文化ってめちゃめちゃ違うんです。A社では仕事ができないと思われていた人が、転職したB社ではスゴい活躍したとかも聞きます。結局、会社という『箱』がその人にフィットするかどうか。いま所属する会社がすべての世界ではないんです。だからもし、毎日が曇りの日のような気がするなら、マイナスを手放して自分に合う箱を探してみてはどうでしょうか」

text:弥富文次

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THE COACH 代表
こばかな

THE COACH 代表。デザイナーとして株式会社DeNAに入社後、株式会社THE GUILD、フリーランスを経て株式会社THE COACHを創業。キャリアとエグゼクティブを中心にコーチングの実績400人以上。国際コーチング連盟認定コーチ(ACC)。開講以来、講師として150名以上のトレーニングを担当。Twitterやnoteでコーチングについて発信しており、SNS合計フォロワー数6万人以上。
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