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Techno、House、EDMのDJに最適

個人輸入したフランス生まれの「DJコントローラー」が優秀すぎた

author: 武者良太date: 2022/04/05

DJコントローラもダウンサイジングの時代です。スマートなサイズでバッグにも入れやすいとなったら、あちこちに持っていってDJプレイができるし、自宅での運用も楽すぎ。スクラッチ重視派のHipHop DJの皆さまには申し訳ないのだけど、120BPM以上のダンスミュージックをまぜこぜして遊ぶなら、フランス生まれのこのDJコントローラ、マジでいいですよ。

すっごく良くなってますよ。iPhone/iPad DJアプリ

レコードからCD、そしてPCを音源として使うようになったDJ機材の世界。でも細部までズームすると、iPodを2台ブッ挿して、両方からの音をアナログ的に切り替える力技なDJコントローラがあったり、iPhone/iPadとつなげるiOS対応DJコントローラに脚光が当たった時代もありました。

残念ながら、そんなには流行らなかった。当時はまだDJアプリの完成度が低かったし、デバイス側がもっさり気味。またiPhoneは画面が小さくて操作しにくいという悲しき個性を抱えています。似ているようだけど、やはり敵わないわけですよ。ガンダムみたいなもんだもんPC DJって。

でも近年のiPhone/iPad用DJアプリ。気がついたらかなり進化していました。異なる曲のBPMを合わせてくれるオートシンクは当たり前。曲の波形をグラフィックで見られるから頭出ししやすいし、イントロの美味しいとこだけループさせたり、複数のCUEポイントをセットするといったこともカンタン。しかもですよ。ボーカルとバッキングを抜いてドラムだけ抽出、逆にボーカルだけ抜き出すのも1タップでできちゃう。デッキは4台もセットできるし、シーケンサーまで入ってる。曲のキーまで判別できちゃうの? ってストリーミングサービス連携で、ローカルに音楽ファイル入れてなくてもイケるとは。

機能面において、PC DJアプリと遜色ありません。ハードウェアのスペックも高まり、操作していてもレスポンスがいいからストレスなし。さらにタッチ画面だけで操作するのではなくDJコントローラを使ってプレイするなら、iPhone/iPadを軸としたDJシステムってアリなんじゃないか。2022年春現在。そう感じています。

ニッチなDJ機材は個人輸入にこそ幸あり

今回購入した「Hercules DJControl Starlight」。輸入価格:8500円+送料

そう思ってiPhone/iPadに対応したDJコントローラを調べると、このDJControl Starlightのようなダウンサイジングモデルも出ているじゃないですか。

プラッターの直径が小さくておもちゃみたいなものだし、コントロールノブやボタンの数も限られています。でも、ガチなスクラッチやビートジャグリングをするHipHop DJでなければまあいける。気兼ねなくDJプレイをするというなら、コレくらいの機能のほうがいい気もする。

と、TechnoとHouseばかりMixしているゆるふわDJな僕はそう思い込むのでした。いや、だって買っちゃったしDJControl Starlight。しかも個人輸入で。

実はDJControl StarlightのメーカーであるHercules、日本に代理店がないみたい。日本で販売されているのはショップが独自に並行輸入したモノみたい。だから販売価格に大きな差があります。

DJControl Starlightを例にとると、海外では約8000~9000円で売られていますが、日本では2万5000円とか2万9800円という値付けになってる。ショップ独自の保証がつくとはいえ……。そこで個人輸入してみると送料込みでも1万1000円くらいで手に入りました。うん。これなら「やっぱ使いづらい」となってもメルカリにゴーしてしまえばダメージ少ないから、いいよね。

iPhone/iPadDJ機材の再発明

実際に使ってみると、あれー。想像以上にいいぞコレ。しっかりとしたクリック感があり、バックライトで光るボタンは、着実に操作をしたという感覚が得られますし、ノブは背が高めで指先でもつまみやすい。

クロスフェーダーは軽すぎると思えたけど、指2本でつまんで重さを足せばいいし、アプリ側の設定でクロスフェーダーの効き方を変えられるから、好みのセッティングにもしやすいじゃないですか。

内蔵されているオーディオインターフェース機能も、スピーカー側に出すMasterと、ヘッドホン/イヤホン側に出すモニターがそれぞれステレオ。2系統です。「そんなの当たり前じゃない?」と思う方もいるでしょうけど、iPhone/iPad対応DJコントローラはステレオ1系統のオーディオインターフェースしか搭載しておらず、右チャンネルをスピーカー、左チャンネルをモニターとして使うために、スプリットケーブルを使わないとならないモデルも多かったんですよ。

実際にDJControl Starlightの兄弟モデルである、Bluetoothワイヤレス接続対応のDJ Control Mixはステレオ1系統しかないからね。勢いあまってこっちも並行輸入しちゃったんだけどさ。

有線接続のDJControl Starlightは、Bluetooth接続のDJ Control Mixと比べてレイテンシが少なく、他の大きなDJコントローラと同じく脳と指先と聞こえてくる音ががっぷり組んでいるような一体感が味わえます。あと音のキレがいい。あくまで安価なDJコントローラにしては、という但し書きがつくけど、お気楽極楽に遊ぶぶんにはまったく問題ありません。

あと、これは特殊な使用例だと思うのだけど。

VRヘッドセットをかぶって、メタバース内でDJプレイをするときに最適すぎますコイツ。VRヘッドセットの鼻周りの隙間から見て操作するのに、ちょうどいいサイズ。同時に仮想空間の中も見られるから、オーディエンスの反応に合わせて選曲できる...って、もうリアルのDJと変わらない。セットリストなんて作らなくても、野良でもDJできちゃうメリットがあるんです。

フィルターノブを使わないならDJ2GO2 Touchもアリ

ただ前述したように、DJControl Starlightを日本で買うのはお勧めできません。万が一のことを考えて保証体制が整っているメーカー品を正規購入したいと考えている方は、NumarkのDJ2GO2 TouchをCheck it now。同様に横長コンパクトなiPhone/iPad対応DJコントローラで、フィルターノブなどがない代わりに、選曲するためのブラウズノブとデッキセットボタンがついているモデルです。曲をそのままかけたい、しかもロングミックスで落ち着いたプレイをしたいという大人なDJにもお勧めできるモデルです。

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ガジェットライター
武者良太

1989年にフリーライターとして活動開始。株式会社三才ブックスに入社して編集職に就き、退職の後にフリーライター/カメラマンとして活動再開。2021年で執筆・編集歴32年。現在注視しているフィールドはIT、IoT、スマートフォン、デジカメ、モビリティなど。1971年生まれ。元Kotaku Japan編集長。
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