2013年以来続く第二次キャンプブームであるが、これを後押しする要因のひとつが野外音楽フェス。音楽をきっかけにテント泊を経験し、キャンプの魅力に気がついてハマっていったという友人は僕の周りにも多い。でも、我が家のように小さい子供を連れてとなるとハードルが高くなるのも事実。どうしても「音楽ライブより、まったりファミリーキャンプしたい」という思いが強いので、今まで積極的に野外音楽フェスへ出かけたことはなかった。
そんな中でも、ひとつだけ気になっていたキャンプフェスがある。それが、コールマンが主催する「The Coleman Camp」だ。誰もが知るアメリカ発の老舗キャンプメーカー・コールマンが運営するイベントで、2019年に第1回目が開催されたばかり。初回は残念ながら予定が合わず、2回目はコロナ禍のため自粛。2021年11月20日(土)~22日(月)に開催された3回目にして、ようやく参加できることとなった。
気になっていた理由は大きく2つ。アウトドア業界を長年リードするコールマンが主催するキャンプイベントがどんなものかを体験してみたいという職業的理由がひとつ。もうひとつは、音楽ライブがメインではなく、アウトドア体験やワークショップがメインだということ。つまり、小学生の子供と一緒に行っても、通常のキャンプ以上楽しめそうな予感がしたからだ。
150組限定。密じゃないキャンプフェス
会場となったのは茨城県にある涸沼自然公園キャンプ場。自然の地形がそのまま残った広大なフィールドの中にフリーキャンプサイトが用意され、そのキャパシティはテント約300組分。企画当初は300組1000人の来場を想定していたそうだが、感染対策のため、抽選で150組まで絞ったという。
「コロナ禍にも関わらず、応募者数は初年度から右肩上がり。今回(第3回目)は400組を超えました。中にはリピートでご利用いただける方もいらっしゃいます」と語るのは、マーケティング・ディレクターの根本昌幸さん。コールマン主催のイベントといえば、“東京のど真ん中でアウトドア体験”をコンセプトにした「アウトドアリゾートパーク」の印象が強いが、「数年やって、キャンプの裾野が広がってきた。次のステップアップに」と仕掛けたのが「The Coleman Camp」。アーリーアメリカンをコンセプトに場内をコーディネートし、自然を五感で感じてもらうためのワークショップや体験コンテンツを充実させたという。
「自然体験は子供の成長や発達に重要だというのがコールマンの考え方です。小さい頃にキャンプを体験しておけば、将来、大人になったときに役に立つこともありますし、ふともう一度キャンプに行きたいと思ってもらえるきっかけも高まります」と言う通り、カヌー体験やトレッキングなど、子供が喜びそうなアウトドア体験コンテンツが揃っている。
我が家も涸沼自然公園の中を散策する「冒険トレック」に参加してみたが、道なき道を進み、藪の中をかき分けていく野性味あふれる内容だった。公園内は整備されているとはいえ、舗装路を一歩外れると大自然。都会で暮らしているとなかなか子供たちにさせてあげられない自然経験が、「The Coleman Camp」ではプロのガイド付きで体験できる。アウトドア好きな親にとっては願ってもないことだろう。
フェスとは思えないキャンプマナーの高さ
もうひとつ、このキャンプフェスに参加して驚いたのがお客さんたちのマナーの良さだ。場内でのあいさつから始まり、夜は21時を過ぎるととても静か。夜間の騒音に悩むことなく、朝まで熟睡することができた。キャンプ場では当たり前の光景であるが、こういったお祭りイベントでは珍しい。
「『グッドキャンパーの心得』というのを弊社で作って啓蒙しているんです。それをご覧になったお客さんが多いのかもしれません。夜にスタッフが見回りをしましたが、騒いでいる人はいませんし、注意するような人もほとんどいませんでしたよ」(根本さん)
「The Coleman Camp」ではテントのレンタルも行っているため、このイベントをきっかけにキャンプデビューする人も多いそう。女性二人組、お母さんと子供だけといった、男性抜きで参加している人が見受けられるのも、アウトドアに精通したベテランスタッフたちが控えているという安心感が大きいのだろう。
「コロナ禍をきっかけに、いまはソロキャンプが異常に伸びています。この流れはしばらく続きそうですが、ブームで終わらせないためにもこういったイベントは大切。来年以降も継続して行く予定です」(根本さん)
キャンプの楽しみ方はいろいろとあるが、イベントに参加しないと経験できない価値もたくさんある。特に、子供に安全に体験させようと思うのであれば、「The Coleman Camp」ほどふさわしいイベントは他にあまり見当たらない。家族を連れていきたいキャンプフェスとは、まさにこういうことなのだ。