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Review

ギターの再デビューにぴったり

夜中でも弾ける! ヤマハの「サイレントギター」を買った&弾いた

author: 山本 敦date: 2021/05/23

コロナ禍の中、自宅で過ごす時間を少しでも楽しくしたいと思い立ってサイレントギターを購入しました。ヤマハのSLG200Nというモデルを選んだ理由や、気軽に練習するための環境導入記を報告します。

こんな時期だからこそ
趣味に浸る時間も大切と考えた

今年の春にヤマハのサイレントギター「SLG200N」を買いました。思えばフリーランスのライターを生業とするようになってから最近まで色んなことに必死になりすぎていたため、唯一と言ってもいい趣味だったギターを弾くことから遠ざかっていました。昨年から続くコロナ禍の中でなおさら仕事に忙殺されそうになった時、ふと趣味の時間を作ることも大切と思うようになり、しまい込んでいたギターをふたたび手に取りました。

アコースティックギターは大学卒業後に初めて手にしたボーナスで買ったギブソンのSouthern Jumboを結婚後も手放さずにいたのですが、現在は集合住宅に住んでいるため思うように音が出せません。また昨今は練習スタジオに足を運ぶことも難しいため、ならばと電子楽器を新しく買おうと思い立ちました。ヘッドホンを装着して静かに弾ける電子ギターはいくつかのメーカーが商品化していますが、やはりヤマハのサイレントギターはデザインが美しく機能が充実していることと、何より本格的なギターの演奏感が楽しめるところに目を付けました。

いちばん静かに弾けるギターを
探し求めて

ヤマハのサイレントギターにはスチール弦のアコギタイプとナイロン弦のクラシックタイプがあります。楽器店で試奏してみたところ、アコギタイプのモデルはアンプを通さずに弾いてもけっこうな音量で鳴ってしまうため、夜中でも落ち着いて弾けそうな静音性能の高いクラシックタイプにしました。

ヤマハのサイレントギター「SLG200」シリーズ。左がアコースティックギタータイプ、右がクラシックギタータイプ。

SLG200Nの音色は正直に言うと慣れるまで“電子楽器っぽさ”が気になりました。楽器店で本機を試奏した時、近くに筆者が憧れている音楽博士兼ギタリストのドクター・キャピタルが愛用する“エレガット”のコルドバ「GK Studio」が置いてあったので、せっかくだからと試させてもらいました。SLG200シリーズとさほど価格は変わらないギターなのに、ふくよかな生音と温かく伸びやかなサステインの味わいに魅了され…。「夜中でも弾けるやつを探せ」というミッションを忘れて食らいつきそうになる気持ちをぐっとこらえました。

なおヤマハのサイレントギターも、ギターアンプやパワードスピーカーの組み合わせを工夫して音色を自分好みにアレンジできると思います。

あるといいながあった!
機能充実ヤマハのギター

ヤマハのSLG200Nはメインボディがマホガニー、指板はローズウッド。美しくラウンドした形状のフレームにはローズウッドとメイプルをそれぞれ使っています。電子楽器とはいえ、リアルウッドの贅沢な質感が楽しめるところもヤマハのサイレントギターならではの魅力ですね。左側のフレームを取り外せば、ギター本体を専用ソフトケースにコンパクトに収納して持ち歩くことができます。

クラシックタイプのSLG200N/トランスルーセントブラック

ちなみに型番に「NW」が付くクラシックギターモデルはネックの幅が通常モデルよりも2mm太い52mmになります。筆者は手が小さいので通常モデルを選びました。4色の本体カラバリが選べるのも通常モデルです。

本体にはギターの弦から生まれた音を拾って電気信号に換えるピックアップと、微弱な信号を増幅して外部機器に出力するところまでの機能を一体化したSRTパワードピックアップシステムを内蔵しています。3.5mmヘッドホン端子に有線接続のヘッドホン、またはイヤホンをつないでから、本体の電源をオンにして弦をかき鳴らすとパワフルな音が聴こえてきます。電源は2本の単3形乾電池。本格的なレコーディングや演奏会で使う場合に備えるため、別売のオプションとして電源アダプターも販売されています。こちらは後から追加購入も可能。

本体の側面にヘッドホン出力を装備。高音・低音の調整や簡易な調弦用のチューナーを内蔵しています。
バッテリーは単3電池2本を使います。

ボトムの背面にはシールドケーブルが挿せる6.3mmのラインアウトがあります。パワースイッチを兼ねているため、ジャックにケーブルを装着すると本体の電源が起動します。

ほかにもギター本体で低音・高音のバランス調整や3種類のエフェクトをかけてヘッドホンやアンプに音を出せる機能が付いています。ちょっとした調弦をしたい時に便利なクロマッチックチューナーも搭載。さすが電子楽器のスペシャリストであるヤマハならではと言える、かゆいところに手が届く仕様です。

弦はヤマハのサイレントギター専用のものではなく、一般的なクラシックギター用のナイロン弦との交換に対応します。

つなぐヘッドホンは
「開放型」がおすすめな理由

ちょっとした空き時間ができたら気軽にギターを弾けるようにいくつかの周辺機材を揃えました。

ひとつはギタースタンドです。毎度ケースに出し入れしていると、いつの間にか片付けが面倒になってギターを手に取らなくなるであろうことは火を見るよりも明らかだったので、いっそのことギターの前を通りがかるたび手に取れるようスタンドに置いて“出しっぱなし”にしています。

弾きたくなった時はすぐ手に取れるようギタースタンドに置きっぱなしにすることに。

ついでにサッと肩にかけられるように、手元にあったギターストラップも付けました。SLG200シリーズはステージでも演奏しやすいようにストラップピンを搭載しています。

ヘッドホンはゼンハイザーの「HD 560S」を選びました。このヘッドホンの音質が気に入っているからという理由もありますが、何より本機はハウジングが密閉されていない「開放型」のヘッドホンなので、装着した状態でギターをかき鳴らしても周囲の音が聞こえてきます。大きな利点はメトロノームの音を聞きながら練習ができることと、ギターを弾きながら自分の歌声が聞ける「弾き語り」向きであることのふたつです

ゼンハイザーのヘッドホン「HD 560S」は開放型ハウジングなので、装着した状態でメトロノームが刻むリズムを聞くことができます。

ギターとヘッドホンとの間にぶらぶらするケーブルをなくせないものかと思い、3.5mm端子に接続できるRHAの「Wireless Flight Adapter」というBluetooth送信機も試しました。でも、やはりBluetoothの音声信号を圧縮してワイヤレスヘッドホンに送るまでの間に遅延が発生してしまうため、弦を爪弾くタイミングに対して音がズレる居心地の悪さを払拭できず断念。時間ができたら今度は楽器演奏も視野に入れた、超低遅延ワイヤレス伝送ができるアダプターを物色してみようと思います。

ヘッドホン端子にRHAのBluetoothトランスミッターを接続。時間のある時に遅延の発生しないワイヤレスアダプターを探してみたいと思います。

ギターの先生はYouTube

購入後1ヶ月が過ぎましたが、静かにギター演奏が楽しめるヤマハのサイレントギターを選んで正解だったと思います。長引くコロナ禍の影響を避けるため、自宅で過ごす時間をなるべく楽しいものにしたいという方に、私はサイレントギターをおすすめします。

いきなり教則本や楽譜を買いそろえたり、ギター教室に通わなくても、まずはドクター・キャピタル「ギター教室」のように上手なギタリストの手元をじっくりと見ながら真似できるYouTubeの動画コンテンツで学べるよい時代になりました。ぜひ気軽にはじめの一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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スマートエレクトロニクス・ライター
山本 敦

オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はオーディオ・ビジュアルからIoT、ウェアラブルまでスマートエレクトロニクスを幅広くカバー。ヘッドホン・イヤホンは毎年300を超える新製品に体当たり中。国内・海外スタートアップの製品やサービスを多く取材、開発者の声を聞くインタビューなどもしています。
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