国内では1日に216名の方が心臓の突然死で命を落としており、この数字は交通事故の約24倍、火災事故死の約53倍にのぼるのだそうです。年単位にするとおよそ8万人。これって想像以上に高い確率ではありませんか。
私自身、今年5月に出産し、保護者となったことから“命を預かる身”としての責任を感じるようになりました。いざという時、「自分の身」も「大切なひとの身」も最大限に救うための手立てを学びたい…心からそう考えていた矢先、“ホームAED”という選択肢があることを知りました。
救急救命士の成川さんに詳しいお話を伺いました。
心臓に電気ショックを与えることで、心停止からの蘇生の可能性を高めることができるAED。救急救命士の成川憲司さんによると、国内では2004年の日韓W杯の開催を皮切りにその必要性が論じられるようになり、スタジアムや街中に設置されるようになったのだとか。しかし、心停止の約66%が住宅内で発生していると言います。
そのような背景を踏まえ、開発されたのがフィリップスの「ハートスタート HS1 Home(以下:ハートスタート)」です。
「心肺蘇生とAEDによる電気ショックを行なった場合、それらを行わなかった場合と比べると“生存率”は約6倍、向上します。1ヶ月後の“社会復帰率”も心肺蘇生とAEDによる電気ショックを行うと約10倍になるんです。私たちは、ハートスタートを通じて心臓突然死からの社会復帰率を少しでも上げられることを目標としています」(成川さん)
社会復帰率とは文字通り、日常生活を送れる状態を指しているのだそう。
とはいえ、大半の方が気になるのは他者へ電気ショックを施すことへの不安とリスクではないでしょうか。
「対象者の心電図を機械側が解析し、電気ショックが必要かどうかの判断は自動で行います。それ以降の胸骨圧迫をはじめとする心肺蘇生法の流れも、音声ガイダンスに従っていただく形なので、一般の方でも基本的には安心してお使いいただける設計です。使用準備中、対象者の着衣を脱がす必要がある点に関しても、可能な限りの配慮をしたうえで、明らかな悪意が認められない場合には、民法·刑法どちらの上でも法律違反にならないと言われています」(成川さん)
なるほど。動揺せざるを得ない緊急のシーンで、機械側が誘導してくれるのは確かに安心かも。
また、これまでの医療現場におけるフィリップスの技術を凝縮して詰め込み、予備のバッテリーや予備パッドを削ぎ落としたことでコスト面を下げることに成功。心臓へのダメージを極力抑えることを考慮した技術でペースメーカーにも対応させ、高価格帯の家庭用AEDが多いなかで、18万1778円(Amazon価格)と低価格に抑えているのも大きな特徴なんだとか。
肝心の使い心地を探るべく、さっそく予行演習を開始!
一次救命処置と呼ばれる一般的な心肺蘇生は、まずは「安全の確認」、続いて主に対象者へ呼びかける「反応の確認」から始まり、「119番への通報」、「AEDの手配」、「呼吸の確認」、「胸骨圧迫(一般の方には心臓マッサージのほうが馴染みがあるかも)」と続くのだそうです。
AEDが到着後は電源を入れ、パッドに描かれている絵の位置に本体を装着。心電図の解析と電気ショックを行なったのちに胸骨圧迫を再開し、人工呼吸の技術と意思があれば併用しながら、救急隊の到着を待つと言う流れだそうです。
初めての予行演習なので初めこそハラハラしたものの、一連の流れを経験してみると、確かに機械に導かれるままに委ねられるのが心強かった。私、AEDって複雑でもっと難しいものだと思っていました。
驚いたのは電気ショックの前後に素手で行う「胸骨圧迫」のしんどさ。対象者の胸の真ん中を両手で1分間に100~120回のテンポで押す必要があるのですが、人体模型であっても骨で守られている心臓へ刺激を与えるのは想像以上に力が必要です。
動揺しているときにできるだろうか…と最初は思いましたが、これも「ハートスタート」のCPRコーチング機能によって最適なリズム音を鳴らしてくれるので頼もしかったです。
ただし、この「胸骨圧迫」は成川さんのようなプロの救急救命士さんが的確に行なった場合でも全血液の30%くらいしかポンプ機能を果たせないのだそう。やはり外的な刺激だけでは限界があり、心臓にダイレクトに働きかけ、正常なリズムに戻すことができる電気ショックはとても重要なんですね。
なお、デフォルトで付属するパッドは基本的には小学生以上を対象としていますが、別売りで未就学児用のパッドもラインナップ。ただ万が一準備がない場合、小学生~大人用パッドでも未就学児(乳児含む)に使っても問題ないのだとか。ただし未就学児用のパッドを大人に使っても十分な効果は発揮できないので使用できません。
バッテリーの寿命は約4年。寿命が近づくと大きめのアラーム音で警告してくれるため、防災グッズの非常食のように賞味期限切れに気がつかないということがないそうです。
ちなみに胸骨圧迫の感覚を得るための練習は、市販の専用クッションでも可能ですが、蓋をした状態の空のペットボトルや四つ折りにしたクッションでも練習可能なんだそうです。知らなかった…!
実際の胸骨圧迫を体験したことはないものの、プッシュすると押し返してくる反応は確かに内臓のような感覚が。一番望ましいのは人体模型ですが、場所を取るので代用品は現実的ですよね。
個人的にはインタビュー中、常に柔和な雰囲気だった成川さんが、お話していたときとは一変、実演時には深く鋭い眼差しになったのが印象的でした。
その変貌ぶりから、これまで体験されてきたであろう実際の救命救急の緊迫感が伝わってきたました。命に関わることって取り返しがつかないことで、本当に人ごとでは無いんですよね。
ハートスタートを使って改めて気付かされたこと
取材後、私含めて取材班がつぎつぎに口にしたのは、「今日、この講習を受けられて良かったよね」ということです。
普段、意識することは少なくても、生きるって実はさまざまなリスクと隣り合わせですよね。冒頭で心停止の半数以上が自宅で起きていることを記しましたが、家で過ごす時間が長くなった今は、更に確率が高まっていることでしょう。
だからこそ、いつ来るか分からない地震と同様に、ひとときも休まずに働いてくれている心臓の突然の変化に対応すべく、もっと備えるべきなのだと思いました。
救急車の平均到着時間は約8.7分。人が倒れてから1分ごとに7~10%蘇生率が下がっていくと言われていますが、そこから救急隊が処置を行うまでにはさらにプラスの時間がかかるといわれています。奇跡的に医療従事者が駆けつけてくれたとしても、そこにAEDがなければ出来ることは限られてしまいます。
健康状態の完璧なコントロールは難しくても、“備える”という選択肢だけは、私たちは自発的に持つことができます。そのための手助けとして、ぜひ「ハートスタート HS1 Home」を手元に一台、置かれてみてはいかがでしょうか。
販売名:ハートスタート HS1
医療機器承認番号:21700BZY00426000
特定保守管理医療機器/高度管理医療機器
販売名:SMART パッド・カートリッジ
医療機器届出番号:13B1X00221000048
一般医療機
販売名:小児用 SMART パッド・カートリッジ
医療機器届出番号:13B1X00221000049
一般医療機器