まとめ買い需要の増加により、大型冷蔵庫が注目されている。食材をたっぷり入れられるから、こまめに買い物をする必要がなく、コストコなどで大量に買ってもストック可能なのがメリットだ。また、大型の方が電気代は安くなっており、断熱材などの進化により10年前と比較すると同じサイズでも内容量は大幅にアップしている。今回は家電プロレビュアーの石井和美さんが、鮮度保持と使いやすさ、オリジナル機能などに注目し、評価した。
・「冷蔵室の使いやすさ」では、食材の出し入れのしやすさ、見渡しやすさ、扉の使いやすさなどを評価
・「冷凍室の使いやすさ」では、大量に購入した冷凍食品の整理のしやすさ、出し入れのしやすさを実際に入れて検証
・「冷蔵室の鮮度保持」では、フィルムをはがしたハムを中段に置き、6日後に乾燥や縮み具合を確認
・「野菜室の鮮度保持」では、椎茸、きゅうり、パプリカを上段に、ほうれん草を下段にいれて8日後にチェック
・「チルド室の鮮度保持」では、豚挽肉を保存。チルドの温度帯よりも低い設定温度があればそちらを選択。7日後に変色や固さなどをチェック
・「オリジナル機能」では、ほかにはない便利な機能をチェック。実用性があるのか、実際に使ってみた
最上段が使いやすい冷蔵庫
Brand 日立グローバルライフソリューションズ
Item R-HX54R
price 28万8000円
spec
定格内容積:540L
外形寸法:幅650×奥行699mm×高さ1833mm
質量:114kg
容量(食品収納スペースのめやす):冷蔵室279L(211L)、野菜室103L(69L)、製氷室22L(7L)、冷凍室136L(83L)
定格消費電力:電動機95W、電熱装置176W
「R-HX54R」の特徴
本製品では、本体幅650mmで従来比20Lの拡大となる定格内容積540Lを実現。冷蔵室最上段は、500mLのペットボトルを立てたまま収納できるようになり、使い勝手が向上している。また、冷蔵室には、棚スペース全体をチルド温度約2℃、湿度約80%となる「まるごとチルド」を採用。約2℃の低温保存により、どこに置いても鮮度が長持ちする。
高い湿度にすることで、一時保存のサラダはラップなしでも乾燥を抑えられる。野菜室は野菜を眠らせるように保存し、みずみずしさが長持ちする「新鮮スリープ野菜室(下段スペース)」を、冷凍室下段には、すばやくホームフリージングできる「デリシャス冷凍」を採用している。
「冷蔵室の使いやすさ」
横幅65cmと少々狭いものの、扉が広く収納しやすい。冷蔵室全段をチルド設定(約2℃)にできるので、どこに置いても食材の鮮度が長持ちする。
「冷凍室の使いやすさ」
ケースは3段。一番上の引き出しはアルミプレートが一面にあり、食材を置くと温度センサーが食品の温度を検知し、自動で運転を切り替えすばやく冷凍する。
「野菜室の鮮度保持」
上段のスペースに入れておいたパプリカは乾燥している状態。きゅうりがしなびてしぼんでしまっていた。葉は葉の部分が少し縮んでいたが、十分使える。
「冷蔵室の鮮度保持」
フチの部分は乾燥して少しかたくなっているものの、見た目はほぼ変わりがない。全体的にはしっとりしている。
「チルド室の鮮度保持」
挽肉は表面が少し変色している。内側は保存時とほぼ同じ状態で変色していなかったが、今回テストした中ではいまひとつの結果に。
「オリジナル機能」
冷蔵室の最上段は低めで手が届きやすく、500mLのペットボトルを立てておける。最上段はデッドスペースになりやすいが、調味料などもたくさん入れておけるので実用的だ。
スリムなのにたっぷり入る冷蔵庫
デッドスペースが少なく隅々まで使える
今回試した中で横幅65cmと一番スリムなものの、540Lという大容量を実現。デッドスペースが少なく、たっぷり収納できる冷蔵庫だ。特に便利だと感じたのは最上段で、他社と比較すると棚の位置が低いため、手が届きやすく出し入れしやすい。一番ムダになりがちなスペースを有効活用できるので、調味料や500mLサイズのペットボトルも立てて入れておける。幅が狭くても、扉にはペットボトルや牛乳パックが入れられたのは便利だった。
冷蔵室はチルドルームだけでなく、棚スペースをすべてチルドの温度にできる。扉を開けると明らかに冷気が他社より冷たく、手作りのお惣菜なども安心して保存可能。また、低温でも湿度は高いので、ハムの保存状態がよく、サラダなども乾燥しないでシャキシャキの状態を保てる。夏場は、どこに入れて置いてもキンキンに冷えたビールを楽しめるから、飲み物をしっかり冷やしたい方にもおすすめだ。
ただ、今回の鮮度保持実験ではチルドルームに入れた挽肉の鮮度が他社よりも悪く、変色していたのが気になった。日立といえば約0.8気圧で酸化を防ぐ「真空チルド」が特徴的とはいえ、ここ数年は一般的なチルドルームに戻している。「真空チルド」は収納容量が抑えられてしまうものの、鮮度保持についてはとても優秀だったので少々残念な結果に。
また野菜室は「プラチナ触媒」で眠らせるように保存し、鮮度を保つ「新鮮スリープ保存」を搭載しているが、下段奥側のスペースのみになっている。テストしてみたところ、やはり葉物野菜の鮮度は良好。しかし、上段に入れておいた椎茸やパプリカなどは、前回テストしたときよりも乾燥が少し進んでいた。 今回は鮮度保持のテスト項目で少し点数を落としたとはいえ、使い勝手はとてもよく頼もしい冷蔵庫だ。置き場所スペースに余裕がない方にぜひ注目していただきたい冷蔵庫である。
製品貸与:日立