まとめ買い需要の増加により、大型冷蔵庫が注目されている。食材をたっぷり入れられるから、こまめに買い物をする必要がなく、コストコなどで大量に買ってもストック可能なのがメリットだ。また、大型の方が電気代は安くなっており、断熱材などの進化により10年前と比較すると同じサイズでも内容量は大幅にアップしている。今回は家電プロレビュアーの石井和美さんが、鮮度保持と使いやすさ、オリジナル機能などに注目し、評価した。
・「冷蔵室の使いやすさ」では、食材の出し入れのしやすさ、見渡しやすさ、扉の使いやすさなどを評価
・「冷凍室の使いやすさ」では、大量に購入した冷凍食品の整理のしやすさ、出し入れのしやすさを実際に入れて検証
・「冷蔵室の鮮度保持」では、フィルムをはがしたハムを中段に置き、6日後に乾燥や縮み具合を確認
・「野菜室の鮮度保持」では、椎茸、きゅうり、パプリカを上段に、ほうれん草を下段にいれて8日後にチェック
・「チルド室の鮮度保持」では、豚挽肉を保存。チルドの温度帯よりも低い設定温度があればそちらを選択。7日後に変色や固さなどをチェック
・「オリジナル機能」では、ほかにはない便利な機能をチェック。実用性があるのか、実際に使ってみた
本体性能と使いやすさ、
すべての項目で高得点
Brand 東芝ライフスタイル
Item GR-T600FZ
price 29万4000円
spec
定格内容積:601L
外形寸法:幅685×奥行745mm×高さ1833mm
質量:128kg
容量(食品収納スペースのめやす):冷蔵室304L(232L)、野菜室133L(89L)、製氷室22L(8L)、冷凍室142L(90L)
定格消費電力:電動機87W、電熱装置99W
「GR-T600FZ」の特徴
野菜室の冷気の流れを改善し、湿度を均一化することで、野菜の保存期間が従来機種の7日間から、10日間に向上した。さらに、野菜室に「UV-LED」を新搭載し、庫内の除菌、野菜に付着した菌の抑制に加え、野菜に含まれるビタミンC増加効果も実現。また、引き出しのハンドル部分を抗菌仕様にすることで清潔さを保つ。冷蔵室のドアポケットには、扉から外さずに上下にスライドするだけで簡単に高さを調節できる「フリードアポケット」や、冷蔵室の扉に給電用のUSBポートを備えるなど、他社にはないオリジナル機能を搭載している。
「冷蔵室の使いやすさ」
中身を入れたまま上下に動かせるドアポケット(左側の扉のみ)、扉はチューブ式の調味料など小物の整理に便利なポケットなど、工夫があって使いやすい。
「冷凍室の使いやすさ」
独自の仕切り板付き収納ケースが付属している。食品の収納量に合わせて仕切り板を動かして整理整頓できるので庫内がスッキリ。
「野菜室の鮮度保持」
シイタケは少し表面が乾燥、パプリカの断面も乾燥は始まっているものの、比較的しっとりした状態。ほうれん草は底面に設置している部分が少々湿っていた。
「冷蔵室の鮮度保持」
ほんの少しフチに乾燥がみられるものの、全体的にはしっとりしている。6日間もそのまま置いておいたとは思えないほどの状態。
「チルド室の鮮度保持」
氷結晶チルドモードで保存。カチカチに凍っていないものの、少しだけ表面がうっすら凍っている状態だ。変色は見られず、パラパラとほぐせてすぐに使える。
「オリジナル機能」
冷蔵庫の扉に触れるだけで開く「タッチオープン」や、給電用のUSBポートなどオリジナル機能が多い。
ユーザーの目線に立った機能は使いやすさ抜群
野菜や冷蔵、チルド室の鮮度も長く保てる
東芝の冷蔵庫といえば「野菜室がまん中」だったが、ここ数年は「こんな機能があればうれしい」というユーザーの声を反映し、便利な機能が追加されている。他にはない独自機能が数多く搭載されており、実際に使ってみるとその使いやすさが際立っていた。
冷蔵室の左側の扉は、扉から外さずに上下にスライドするだけで高さを調節できる「フリードアポケット」を採用しており、食品を出すことなく簡単に移動できるようになった。
卵は扉で保存したい人と棚にケースで置きたい人に分かれるが、どちらにも対応できるようになっている。棚で使わない場合はフリーケースとして最上段で小物などを入れて引き出しのように利用できる。
また、冷凍庫の「仕切り板付き収納ケース」も、冷凍食品に合わせて仕切り板を自由に変えて整理でき、ケースそのものは取り外すこともできる。付属品はユーザーが好みに合わせて使用・不使用の選択ができるので、さまざまな使い方に対応できる点も評価したい。
扉表面に搭載されているUSB給電ポートも実用性が高い。料理をしながら、手軽にスマートフォンなどを充電できるので便利だ。ただ、スマートフォンやタブレットを置く場所が冷蔵庫の周辺にないことも多いので、冷蔵庫に装着できるケースのようなものも別売りでもよいので販売してほしい。
食材の鮮度保持も優秀だった。冷蔵室にそのまま置いて保存したハムや、氷結晶チルドモードで保存した挽肉は鮮度が保たれており、保存状態がよい。野菜室は何も入れない状態で湿度が46%もあり、今回試した中では一番高湿度。椎茸やカットしたパプリカの断面なども若干乾燥はしているものの、8日経過しても潤いは残っていた。野菜室の底には“フタ付きの穴(おそうじ口)”があり、その下にゴミ箱を置いておけばそこから泥などを落とすことができる。野菜室がまん中にあるからこそ実現できる機能で、掃除のしやすさにも感心した。
東芝の冷蔵庫は、使い勝手においても、食材の鮮度保持においても文句なしの1位だった。
製品貸与:東芝ライフスタイル