最近、タコスの気分が高まっている気がする。お店で本格的な1枚を楽しむのはもちろん、自宅でタコスパーティーをしている人も増えているよう。スーパーに行けば、タコスシーズニングやトルティーヤ、サルサが手軽に手に入るけれど、せっかくならマジのタコスを作ってみたい。
というわけで今回は、東京・中延にあるタコスショップ「みよし屋」に弟子入り。粉からこねて、焼いて、包む、タコス修行に挑戦します。挑戦してくれたのは、ラジオ知らねえ単語の園凜さんと金井球さん。2人で料理をするのは初めてということで、少し緊張しつつも、笑い声とスパイスの香りに包まれながら、いざ修行へ。

ラジオ知らねえ単語
点滅している信号は渡らない園凜(写真左)とお金がないのに眼鏡をつくる金井球(写真右)による止まらないおしゃべりの切れ端。
ラジオ知らねえ単語 Instagram:@shiraneetango
園凜 Instagram:@sono_rin_
金井球 Instagram:@tiyk_tbr
修行の舞台は元お蕎麦屋さん!?
修行の舞台「みよし屋」を目指して、ラジオ知らねえ単語の園凜さんと金井球さんと、中延駅で待ち合わせ。
園:お店でタコスはよく食べるけど、トルティーヤから作るのは初めてかも。
金井:粉からトルティーヤを作るんだよね? 楽しみすぎる!
園:2人で過ごすことは多いけど、一緒に料理はしたことないから、どうなるんだろう〜。料理できる?
金井:なんてったって、高校生のときにフードデザインの授業取ってましたから。りんごの皮むき大会で1位だったし。
園:私もバイトの仕込みで玉ねぎみじん切りしてたから、バッチリだし〜!
気合充分!
そんな会話を交わしながら歩くこと数分。目的地の「みよし屋」が見えてきました。暖簾をくぐると、迎えてくれたのは「みよし屋」のオーナー・阿部さん。


阿部:いらっしゃい。今日はよろしくお願いします。
金井:よろしくお願いします!
園:店構えからメキシカンの雰囲気がまったく感じられないのですが……。
阿部:そうなんです。みよし屋は、もともと僕の両親が営んでいた蕎麦屋だったんです。先代まで続いた屋号を残して、僕の代からタコスとおそうざいを楽しめるお店として再出発しました。
園:えっ、そうなんですか!

みよし屋オーナーの阿部さん
阿部:みよし屋では定番メニューのカルニータスやチキン、フライドトマトなど、数種類のタコスとおそうざいを中心に提供しています。
金井:どれも美味しそう……。今日はそんなみよし屋さんのタコスを0から作るべく修行をしに来ました!
園:粉からこねて、包んで、食べるまで、全部やりたいです!
阿部:それは頼もしい(笑)。今日は店長のショウが、みなさんにタコス作りをレクチャーしますよ。なんでも聞いてね。
金井:押忍!
園:師匠、よろしくお願いします!
ショウ:よろしくお願いします!

(写真右)店長のショウさん
いざ、タコス作りに挑戦!
ショウ:さっそくタコス作りに入りましょうか。
園:うわ〜、ついに……!
ショウ:流れとしては、とうもろこしの粉を練ってトルティーヤを焼きます。そのあと今回挑戦してもらうタコスの具材「チキンティンガ」を煮込んで、最後に包んで完成です。

みよし屋オリジナルのエプロンをつけ、手を洗って準備万端。「師匠、お願いします!」の合図とともに、いよいよ修行がスタート。

ショウ:マサ粉を使ったトルティーヤを作っていきます。使うのはマサ粉と塩、あとはぬるま湯だけ。塩は少々、水は様子を見ながら入れて、まとまってくればOK。
マサ粉はとうもろこしを石灰水で処理してからグラインドした粉で、みよし屋ではこのマサ粉を使ったソフトシェル(やわらかい皮のこと)スタイルのトルティーヤを採用しているのだそう。
ショウ:さっそく、こね桶に材料を入れて混ぜていきましょう。
金井:えっ、この器って蕎麦を打つときに使う道具ですか!?
阿部:そう。蕎麦屋の道具も大切に使っているんですよ。

マサ粉にぬるま湯を少しずつ注ぎながら、手でゆっくりとこねていく。
園:おりゃ〜! だんだんまとまってきた。
金井:コーンのいい香りがする。やばい、お腹すいてきた。
園:まだ皮にもなっていないけどね(笑)。
金井:なんか、まとまってくれると嬉しい〜。
ショウ:強くこねすぎなくて大丈夫です。うどんや蕎麦みたいにグルテンが出るわけじゃないので、やさしくまとめる感じでOKです。
園:師匠、さすが……! マサが言うことを聞いている。
金井:ほんとだ、かわいい……もちもちしていて、愛おしい。
ショウ:これでこね完了です。いい感じですね。

師匠〜!


ショウ:次は、1枚分のマサを量って成形する工程です。だいたいピンポン玉くらいの大きさに丸めてね。きれいな丸に成形できるかがポイント。
金井:ピンポン玉……これくらい?
ショウ:いや、それ倍あるね(笑)。
園:思ったよりもきれいに丸くするのが難しいぞ。

ショウ:マサはすぐ乾いちゃうので、クイックにやるのがポイントです。時間が経っちゃうときは、霧吹きで軽く水分を与えてあげてくださいね。

ショウ:次にトルティーヤプレスで生地を伸ばします。
園:トルティーヤプレスって思ったより大きい!
金井:赤ちゃんくらい重いね(笑)。
ショウ:これでプレスすると、均一な厚さのトルティーヤが簡単に作れるんです。
園:じゃあ、早速いっちゃいます。
金井:りんちゃんがんばれ〜!

園:わ〜、気持ちいい。
金井:きれいなトルティーヤの形になってる!
ショウ:プレスする前にまんまるに成形しておくと、きれいな形に仕上がりますよ。
金井:あっ! 穴があいちゃった(泣)。こんなに丸く可愛くできたのに……。
園:うぇ〜ん!
ショウ:少し乾いてたかも。焼く前は保湿が命です。

鉄板の前に立ち、いよいよ焼きの工程へ。トルティーヤの縁が少し反ってきたら、ひっくり返すサインなんだとか。
園:熱々の鉄板だから1分くらいで焼き上がるんだ!
金井:もう生地をプレスするのも、ひっくり返すのも余裕かも〜。
ショウ:これで、トルティーヤは準備バッチリですね。

余裕が出てきた舞

ショウ:次はいよいよ、具材のチキンティンガを作っていきます。
阿部:チキンティンガは、簡単に説明するとチキンのトマト煮です。
金井:うわぁ、絶対に美味しそう。
阿部:みよし屋ではチキンをフライにして出すタコスもありますが、煮込みも美味しいですよ。本場メキシコでも定番のタコスですね。

ショウ:まず用意するものは、鶏もも肉とにんにく、玉ねぎ、オレガノ、塩、水です。材料を大鍋に入れて、沸騰してきたらチキンブイヨンを加えて30分ほど煮込みます。その間にトマトベースを準備していきましょう。
鍋からふつふつと湯気が上がるあいだ、テーブルの上にはトマト缶、スパイス、チョコ、唐辛子の缶詰が並ぶ。
ショウ:次にトマトベースのソースをつくります。トマト缶をベースにチポトレという燻製した唐辛子を入れます。
園:チポトレ? 初めて聞いた。
阿部:本場では定番のスモークチリですね。五反田にある南米輸入食品を扱う「キョウダイマーケット」などでは缶詰のものが売っていますよ。普通の唐辛子でも代用できますが、チポトレのほうが土っぽくて、香りに奥行きが出るんですよ。
ショウ:トマト缶、チポトレ、スパイスなどを混ぜてミキサーにかければベースとなるソースは完成!
金井:師匠、次はなんでしょう?
ショウ:たまねぎをみじん切りにして炒めてください。
園:腕の見せどころだ!
ショウ:炒めた玉ねぎに、鶏肉を下茹でしたときに出たスープを加えます。うま味が全部詰まってるので、ポイントですよ。グツグツ煮込んだら、ここにトマトベースのソースとチョコを加えて、さらに煮込みます。
金井:いい匂いが……。
ショウ:しばらく煮込んでいるあいだに、下茹でしたチキンを取り出して、手でほぐしていきます。
園:食べやすい大きさに、ほぐしほぐし〜。
ショウ:ほぐしたチキンはトマトベースに戻して、さらに15分ほど煮込みます。
金井:もう、これ絶対うまいやつだ……。

ショウ:これでチキンティンガの完成です!
園:わ〜、きれい。
金井:この香り、やばいです。
阿部:包む準備が整いましたね。

チキンティンガの完成

ショウ:修行の最後は、盛りつけです! トルティーヤにチキンティンガをのせて、パクチーやトマト、オニオンなどの野菜を添えます。粉チーズをふりかけて、最後にライムを添えれば完成!
園:わ〜! ついに完成だ。
金井:やっと食べられる、嬉しい〜。
ショウ:せっかくなので、今日は手巻きタコスセットの盛りつけも体験してもらいましょう。
園:わ〜! 一気にパーティー感ありますね。
金井:これはテンション上がる……!
手巻きタコスセットは、「みよし屋」でも人気のメニューのひとつ。トルティーヤと数種類の具材がセットになっていて、自分の好きな組み合わせで楽しめる。
今回はみよし屋定番のカルニータスやチキン、2人が「気になる!」と選んだシュリンプ、フライドトマトをチョイス。テーブルの上には、色とりどりの具材がずらりと並び、見ているだけでお腹が鳴りそう。
ショウ:プレートが茶色っぽくなりがちなので、パクチーやトマトを添えると彩りがよくなります。あとはオニオン、パクチー、仕上げにライムをきゅっと。
園:うわ〜、最高……! 包む前から美味しそう。


金井:いただきます〜!
園:うんま〜〜!! 泣ける〜。
ショウ:めちゃ美味しい! ほんとに上出来です。
サルサをたっぷりかけて、一口目で顔を見合わせるふたり。トマトの酸味とスパイスの香りがふわっと広がる。
金井:うわ、めっちゃ美味しい……!
園:自分で作った分、感動なんだけど。
金井:次はどの具材を包もうかな〜。
園:私はパクチー大好きだから、山盛りでいっちゃおう〜。
金井:マイベストな1枚がつくれるから楽しいね。

金井:師匠、ほんっとにありがとうございました!
ショウ:こちらこそ、いいチームワークでした。これでタコスマスターですね。
阿部:タコスは自由なんですよ。トルティーヤ、具材、サルサがあればそれでタコス。正解も間違いもない。自由に包んで、自由に楽しめばいいんです。
園:自分で包むと、好きな量を調整できるのが楽しいね。ほんと、家でもやってみたいです。
金井:お皿を囲んで、何の具材を包むか話しながら、美味しいご飯食べられるの最高じゃん。みんな、タコスパーティーすべし!
みよし屋
住所:東京都品川区西中延3-5-17
営業日時:
月水木金 17:00~22:00
土日 11:30~15:30/17:00~22:00
定休日:火曜日
電話番号:080-8059-1159
Instagram:@tacoshop_miyoshiya


















