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私と運動の距離感

文化系に、スポーツは必要ですか? タトゥーシールデザイナー・Iwaya Kahoの場合

author: Iwaya Kahodate: 2025/04/08

ミュージシャン、芸人、アーティストなど、いわゆる「文化系」の人にとって、スポーツはどのような存在なのか。ゲストの人生を振り返りながら、“文化系とスポーツの距離感”を探ってみよう。
 
今回、自身とスポーツとの関わりについて語ってくれたのは、タトゥーシールデザイナーのIwaya Kahoさん。ものづくり精神に溢れる彼女にとって、運動はどのような立ち位置だったのだろう?

Iwaya Kaho

ポートランドのタトゥー文化に影響を受け、日本のタトゥー文化を拓くため、2015年に「opnner(オプナー)」を立ち上げる。タトゥーシールを制作販売する他、彫り師としても活動している。

Instagram:@poxn
X:@opnner

外遊びが好きだった私に“ものづくり精神”が芽生えた

小学生の頃から中学生になるまで、水泳を習っていました。だから、泳ぐことにはそれなりの自信があって、一生懸命泳ぐことも、力を加減して泳ぐこともできる。今でも泳ぐときは、久しぶりに乗る一輪車のように感覚がすぐに戻ってきます。

小学校の頃は、休み時間はずっと外で遊んでいて、運動会では短距離で1位を獲ることを、すごく重要視していた記憶があります。

中学校では、バスケ部に入ったんです。バスパンとバッシュが履いてみたくて(笑)。英会話教室で出会った先輩がバスケ部で、その人に憧れて入ろうと思ったのがきっかけだったと思います。

ただ、顧問の先生がめちゃくちゃ怖くて、3か月で辞めちゃいました。上下関係も厳しかったし、とにかく子どもながらにかかっていたストレスが強烈で……。

部活に何度も入り直すという選択肢を、当時は持ち合わせていなかったので、退部してからはずっと帰宅部でした。父が使っているパソコンを借りては、当時流行っていたブログに使用するバナー素材やアイコンを頑張って作ってましたね。“素材屋さん”です(笑)。思い返せばその時間も、今につながっているものづくり精神のひとつなのかもしれません。

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高校では、「もう一回、部活にチャレンジしてみよう」と、吹奏楽部に入りました。でも、金管楽器を希望していたのに、なぜかパーカッションになってしまって、3日で退部しました。「違う!これじゃない!」って。

その後、お茶部(茶道部)に入部しました。お茶部の2個上の先輩がすごく綺麗な方達で。当時の2個上の先輩ってすごく大人に見えて、憧れがあったんですよね。

部内で同年代のギャル仲間四人は「やるときは本気でやる」がモットーだったので、真面目にお茶を立てて、しっかりお菓子を食べて、その後プリクラを撮りに行く、みたいな放課後を送ってましたね。ちなみに、何かを作る欲望はその頃も強く持っていたので、友達への手紙や彼氏へのプレゼント作りも楽しんでいました。

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中高で運動するときといったら、体育くらいでした。でも、体育は授業の中でも好きな方だったんです。ただ、球技とかタイムを計られる競技だと、やる前に「うまくできるかな」って、プレッシャーを感じてしまって。それがなんだか心地よくないなとは思ってました。やり始めたら楽しいんですけどね。

欲望のまま、ものづくりをしていた大学生活

大学では、いろんなサークルに入ってました。ハイキング同好会や、フリーペーパーサークル、校外の服飾サークルとか。

大学生活では、「何かを作るのも、みんなで集まるのも、ぜんぶやりたい!」という欲望を、体力の限り叶えていた記憶があります。月2回、東京のZINEスクールに夜行バスで通ったり、アートキャンプのプログラムのためにポートランドに行ったりしていたのも、純粋な好奇心や挑戦心から。今まで趣味で腕に描いていたイラストを、タトゥーシールとして販売し始めたのも、大学生の頃です。

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でも、動くための筋肉というか、スポーツ用の体力にあんまり自信がなくて。友達にスキーに誘われても、「そのための体力をつけなきゃ」みたいな気持ちが湧いちゃうんですよね。

みんなで何かするのは好きなので行くんですが、すぐ疲れちゃって。隅っこで雪だるまを作ってたときもありますね。それはそれで楽しい記憶なんですが、スポーツに関してはやりたい気持ちと、やれる体力への自信のなさが、いつもせめぎ合ってます。

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悶々としたとき、運動が思考の風通しをよくしてくれる

大学を卒業し、上京した後、家でひとりで作業する時間が増え、生活がなんだかコンパクトになったような気がしました。大学では、予定を立てなくとも誰かと顔を合わせる機会も多かったので、寂しさもありましたね。

東京に友達はいたけど、みんなそれぞれの仕事があるし、孤独感が強くて。制作や納期もあるなかで、気持ちが鬱々とする日もありました。

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そんなとき、「まずは一歩、家から出る」というのが気晴らしになることと、歩くと気持ちに余白ができることに気付いたんです。

家にいると、“やらなきゃいけないこと”と“やりたいこと”で頭が堂々巡りになったりするけど、歩いているうちに、何も考えてない瞬間が増えて、その余白から頭の中の物事を整理していけるというか。時間が経つにつれて、「あ、こうすればいいのか」みたいに脳が整理されていく。しかも、動く時間に比例して、脳のスペースが空いていく感覚がありました。

仕事柄、家から一歩も出ずに過ごせてしまうからこそ、外に出るタイミングを作るようにしてて、打ち合わせはなるべく相手のオフィスに伺ったり、カフェで作業をしたり。そうやって少しでも動くことで、体の中の巡りがよくなるような気がしています。

ちなみに上京してからは、区民プールが解放されたタイミングで、泳いだりもしてるんです。泳いでいるときは、いつもより考え事が捗ったり、ただ水の音を聞いたり、とても癒されます。終わった後は、体が気持ちよくだるくて、それが一種の達成感にも感じるので、いい息抜きにもなっています。

一方で、時間がないなかで画材や制作の材料を買いに行くときは、物理的に歩いてますけど、全然気持ちに余白はないです。むしろ、脳が買い物リストに圧迫されて「やばいやばい」って口から出ちゃってる(笑)。もはやあれは、散歩とは真逆の行為だなと思います。

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昔は、運動って学校の授業みたいに、意図せずとも機会が訪れるものでした。でも、大人になると、思考の風通しになったり、体の巡りをよくしてくれたり、体を動かすといいことがあると分かっていても、自分から機会を作らないとなかなかできないんですよね。

今年はいつもよりたくさん泳ぎに行けたらいいなと思っています。

Text & Edit:しばた れいな


author
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デザイナー
Iwaya Kaho

ポートランドのタトゥー文化に影響を受け、日本のタトゥー文化を拓くため、2015年に「opnner(オプナー)」を立ち上げる。タトゥーシールを制作販売する他、彫り師としても活動している。
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